まみ めも

つむじまがりといわれます

あじフライを有楽町で

きのうからおしるしが続く。おなかの張りはあまりなく、よくわからないままなんとなくソファに横になって過ごすようにしている。気持ちが落ち着かないで、本の内容もあまり頭に入らず、ラジオをかけてうとうとする。きいたような音楽がはじまって、シャーデーかなと思ったら、RHYEのOpenという曲だった。

ト。

あの味を知ってしまったのは、幸福だったのか。志ん生が愛した天丼、衝撃のシカ肉、たまごサンド、パリのにんじんサラダ…。古今東西を駆け巡る、美味なるエッセイ78篇。『週刊文春』連載を書籍化。

こういうときにはややこしくない本に限る。安西水丸のイラストにはややこしさの余地がなくすばらしい。

博奕のアンソロジー

ふくちゃんが浦和レッズのフラッグキッズに当選して、予定日まであと九日の出っ腹を抱えてそわそわと埼スタにいってきた。キックオフぎりぎりにスタジアムに飛び込み、がちがちに緊張したピッチ上の豆つぶみたいなふくちゃんにおーいと手を振った。レインボーのかき氷のシロップがあっという間に溶けて混ざってどどめ色の液体になる暑さ、試合もパッとしなかったけれど、スタジアムの空気感に気分はもりあがった。試合のあと、なまぬるい夕風にほっとする。

宮内悠介リクエスト! 博奕のアンソロジー

宮内悠介リクエスト! 博奕のアンソロジー

 

ト。

読書家にして麻雀にも造詣の深い宮内悠介が、人気作家たちに「お願い」して誕生した、「博奕」モチーフのアンソロジー山田正紀「開城賭博」、軒上泊「人間ごっこ」など全10編を収録。『小説宝石』掲載を単行本化。

獅子の町の夜 梓崎 優

人生ってガチャみたいっすね 桜庭 一樹

開城賭博 山田 正紀

杭に縛られて 宮内 悠介

小相撲 星野 智幸

それなんこ? 藤井 太洋

レオノーラの卵 日高 トモキチ

人間ごっこ 軒上 泊

負けた馬がみな貰う 法月 綸太郎

死争の譜-天保の内訌- 冲方

浮き沈みが苦手なので、博奕でもりあがったりもりさがったり、ということに思いを巡らせるだけでおなかいっぱいになってしまい、ドリームジャンボも買う気にならない。形だけで知っていた文字を、うぶかたとう、と読めるようになってしまったことがちょっとつまらない。

黄色いマンション黒い猫

今日は買い物ついでに公園ではや昼。木陰のベンチを見つけて、セブンイレブンカスクートを炭酸水で流し込む。炭酸水がソッコーで汗に変換される。家に帰って、窓を開け放つと、窓から入ってくる風がモワッとする。アイスコーヒーに氷をたっぷり浮かべて、単行本を眺めつつ、熱風に吹かれてソファでうとうとした。はっと気づいたら、ガラスの氷は窓辺でおおかた溶けて、単行本が床に落ちていた。あと何回、こんなふうに怠惰にうたた寝できるのか。ちょっとだけ死の成分を味わう。

黄色いマンション 黒い猫 (Switch library)

黄色いマンション 黒い猫 (Switch library)

 

ト。

私は原宿を歩きながら、過去や、未来や、自分の心の中を旅した。今だから書けること、今しか書けないことを綴った、小泉今日子のエッセイ集。『SWITCH』連載に書き下ろしを加えて書籍化。 

予約して受け取ってみたら和田誠なんだもん。キョンキョンは最強のアイドルだ。

しばらく前に、診察を終えて、通りを挟んだスタバのソファ席に居座ってこの本を読んでいたら、キョンキョンからのエール(頑張れ妊婦!産めよ女子!)がふいに飛び込んできて、泣けるぐらいうれしかった。がんばるしかない、産むよ、キョンキョン

 

ああ、犬よ!

ちびっこ相撲があって、応援にかけつけたくてうずうずしたけれど、叶わず、おにぎりとウインナーや玉子焼きの簡単なおかず、駄菓子を持たせて送り出す。あっという間に負けて、だんまりで帰ってきた。

リトドリンを飲まなくなって、からだはだいぶましになり、気持ちにも余裕がでて、リトドリン+エビデンスでキーワード検索し、いまさらな情報を仕入れてげんなりしてしまった。きょうも診察、いよいよ感が募る。診察のあとはちょっとくたびれて、通りを挟んだ向かいにあるスタバでソファ席にもたれて、本(きょうは安房直子)を読みながらひと休みする。はちみつとミルクをたっぷり入れたアイスコーヒー。

ト。

作家と愛犬をめぐるエッセイや詩、マンガを集めたアンソロジー

弟ハリーのこと 杏

りっぱな犬って? 本上 まなみ

飼い犬の悲しみ アーサー・ビナード

転向・犬猫篇 星野 智幸

人と花と動物と よしもと ばなな

犬を飼わない理由 島田 雅彦

「犬の力」を知っていますか? 池田 晶子

愛しの動物たち 原田 宗典

without 松浦 寿輝

ルーカス 山本 容子

龍太郎のなみだ 道浦 母都子

犬が独り言を聞いてくれた 北方 謙三

へんてこりんな犬 宮本 輝

ルビや 村田 喜代子

犬影 藤原 新也

「話せば分かる」ってホント? 畑 正憲

深夜の冒険 藤子 不二雄A

あらった犬の体をはやくかわかす知恵 筒井 康隆

犬は犬であって… 江藤 淳

ネロ-愛された小さな犬に 谷川 俊太郎

犬隠しの庭 多田 智満子

犬の銀行 向田 邦子

名犬ビー公 小川 国夫

犬の眼 吉村 昭

子犬のいる風景 中野 孝次

犬と人間 丸谷 才一

我家の犬 水上 瀧太郎

こいぬ 北原 白秋

実家にいる、ツートン顔のいぬのことを思い出す。中学生のときにいついたのら犬と同じように、顔が左右で茶と白にわかれていて、似ているのが懐かしくて、動物病院で飼われていたのを、おかあさんが引き取ってきた。情けない顔立ちにいとしさが増す。いつも、ばいばいするときには、お父さんとお母さんを頼んだよ、と声をかける。わかっているのかいないのか、ぺろぺろと手を舐める。なんにもわかっとらんでいい、元気でおってくれ。

絶望書店 -夢をあきらめた9人が出会った物語-

ぽっかりあいた平日の昼間があったので、最寄りのロイホにでかけ、ロイホのテッパン、コスモドリアを頼む。ゆっくりゆっくり食べたあと、ドリンクバーのアイスティーを飲みながら、窓際のテーブルで本を読んでいたけれど、座っているうちにしんどくなり、えっちらおっちら歩いて帰り、家のソファに倒れこんで動けなくなってしまった。夕方、せっかくのコスモドリアをあらかたもどしてしまう。平成もつわり、令和もつわり、臨月もつわりで、つわりから抜け出せない。ものの味がひとしく三割減くらい。ちっともありがたくない割引。トマトや甘夏、グレープフルーツにすがる日々。

絶望書店: 夢をあきらめた9人が出会った物語

絶望書店: 夢をあきらめた9人が出会った物語

 

ト。

抱いた夢の終わらせ方を、誰も教えてくれなかった…。夢をあきらめる気持ちに寄り添ってくれる物語を集めたアンソロジー山田太一「断念するということ」、連城三紀彦「紅き唇」など、全9作品を収録。

断念するということ   山田 太一
希望よ、悲しい気持ちでおまえに別れを告げよう-ベートーヴェンの手紙より ベートーヴェン
マクベス夫人の血塗られた両手   ダーチャ・マライーニ
打ち砕かれたバイオリン   ハインリヒ・マン

人生に隠された秘密の一ページ   ナサニエルホーソン

紅き唇   連城 三紀彦

肉屋の消えない憂鬱『カンプノウの灯火 メッシになれなかった少年たち』より 豊福 晋

パラレル同窓会   藤子・F・不二雄
アジの味   クォン ヨソン

才悩人応援歌   BUMP OF CHICKEN/編

ここ数ヶ月、まのあたりにする現実にとことんうちのめされ、絶望レベルの自己最高記録を更新しつづけていた。心のしんどさも、肉体のしんどさも、どこまでもじぶん内側のことで、共有できないということが、絶望的でもあり、だけどちょっとした希望だったりもして。

蜜蜂と遠雷

Kさんが、片づかない仕事をほっぽりだして、電車とバスを乗り継いでビジネスリュックをしょって会いにきてくれ、ふたりでおそ昼。おみやげに浅草神社の安産健育の真っ赤なお守りとペリカンのパンをもらう。こちらは、コーヒー入りのイタリアンコーラと水出しのアイスコーヒーのパックを渡す。フレンチレストランのあとはロイホにうつってしゃべり倒す。尽きない話を切り上げて、夕方に駅のそばで別れる。おしっこする間も惜しんでしまって、別れたあとでトイレに駆け込んだ。

蜜蜂と遠雷

蜜蜂と遠雷

 

実家に珍しい本があるなあと思ったら、おとうさんのお見舞いに持ってきた人がいるとかで、「死の棘」状態にある母の想像ではいわくつきということになっている。

 養蜂家の父とともに各地を転々とし自宅にピアノを持たない少年、かつての天才少女、サラリーマン…。ピアノコンクールを舞台に、人間の才能と運命、音楽を描いた青春群像小説。『星星峡』『ポンツーン』連載を単行本化。

10連休に、こどもたちを公園に連れて行った車の後部座席をめいっぱい倒して、窓ドアを開け放ち、五月の風とさわやかな暑さを味わいながら、ウトウト読んだ。浦和に帰ってきて読みおえたあとブックオフに売りに行く。いわくつき、三百円也。コーヒー代に消えた。こんなふうに人の気持ちにもけりがつくといい。

佐野洋子の動物ものがたり

休みに入った矢先に安静を言い渡され、それまで毎日通勤やあれやこれやで二万歩だったのが、千歩もいかないような10連休を過ごしたので、安静がとれても思うように動けない。そろりそろりと歩いていて局部がつんとするだけでびびってしまう。ふーたんが朝、むずむずと泣くようになったので、今日は特別おやすみにして、ふたりでのんびり過ごす。昼前までままごとの合間に衣替えをし、フランスパンでサンドイッチをこさえて、ピクニックにいくつもりだったけれど曇天なのでベランダにレジャーシートをひろげて食べた。ツナときゅうり、ゆで卵、それから、ハムとチーズ。ふーたん、ゆで卵ばっかり食べた。

佐野洋子の動物ものがたり

佐野洋子の動物ものがたり

 

ト。

うさぎ、ゴリラ、ブタ、きつね、白熊、かば、蛙、そして人間。ヘンないきものたちが七転八倒する6つの寓話を収録。『図書新聞』に連載された、佐野洋子の遺された傑作、初の単行本化。広瀬弦の斬新な挿絵も多数収録。

うさぎカリカリ p7-28 
ブタシュルシュル p29-72 
白熊ぱぱぱぱ p73-91 
かばジャラジャラ p93-124 
蛙キョロキョロ p125-133 
狐もっともっと p135-150

 狐もっともっとが身にしみた。もっとにはキリがない。