まみ めも

つむじまがりといわれます

セックスボランティア

また廉売になっていた栗に手を出してしまった。今度は圧力鍋ですこしだけ火を入れてから鬼皮をむくアプローチ。いくつか渋皮も剥いてしまう。ちょっとしたことを丁寧にやれないので、栗の渋皮煮なんてとても手に負える代物ではないはずなのに、栗を見かけるとむらむらして手を出してしまうのだからおそろしい。重曹で3回、それから1回ゆでこぼして、水あめと上白糖で煮た。今回もいまいちな予感しかしない、かくなるうえはブレンダー様にお出まししてもらいマロンペーストにしてやろう。

半年に一度の通院を前日にふとひらめいて思い出した。朝の混雑する時間帯に受付と採血を済ませて予約時間にいったらすぐ呼ばれ、診察は3分とかからない。のぞきこんだ検査結果はTSHが基準値に足りないLのアラートが数値の隣についている。イイカンジです、という医者の笑顔を鵜呑みにして半年後の予約を取ってもらった。いろいろ体には不具合があるけれど、加齢や出産や授乳のインパクトが強すぎて、持病による変化があっても気がつける気がしない。

セックスボランティア (新潮文庫)

セックスボランティア (新潮文庫)

 

ト。

障害者だってやっぱり、恋愛したい。性欲もある。その思いを満たすための「性の介助」の現実とは? 彼らの愛と性に迫るノンフィクションの意欲作。『週刊朝日』連載「週刊ノンフィクション劇場」をベースに追加取材、加筆。

 知らず知らず、自分のなかでタブーだったのだなということに改めて気づく。

チェンジリング

H&Mのネット通販でぺらぺらくたくたしたTシャツが599円なのをさらに2割引で買う。あさっての方向が透けて見えるような頼りなさがいい。リネンのシャツは着心地がいいけれど、げんちゃんの肌にあたりが強いので敬遠してしまう。こういうときはやっぱりコットン一択。H&Mの頼りないTシャツに頼りなくないユニクロジーンズ、上下とも3色ずつあるので9通りだけれど、よそから見たら毎日同じ格好に見えるだろう。苦しゅうない、ちこうよらんでくれ。ちゃちなイヤリングは324円でちんまりした黄色い星が耳もとでちらちら揺れるのが気に入っている。

チェンジリング (字幕版)

チェンジリング (字幕版)

 

プ。

1928年のロサンゼルスを舞台に、誘拐された息子の生還を祈る母親(アンジェリーナ・ジョリー)の闘いを描くクリント・イーストウッド監督によるサスペンスドラマ。息子は無事に警察に保護されるが、実の子でないと疑念を抱いた母親が、腐敗した警察に頼らずに自ら息子の行方を捜して行動を起こし、同時に市長や警察機構を告発する。共演にジョン・マルコビッチ

あとからクリント・イーストウッドだと知って合点がいくような、ふちを覗きこむような映画。

待ち遠しい

連休にせっせとこさえた渋皮煮、煮込んで瓶に詰めて3日ねかせたので、味見してみたら裏切りのようにかたかった。鍋のことを忘れてぐらぐら煮立っていたのがいけなかったのか。圧力鍋に蜜ごとうつして5分加圧して、なんと手のかかる代物に手を出してしまったんだろう。でも、こうやって没頭する作業は気持ちのいいものだな。リサイクル図書でもらってきたおやつの本に載っていた、ドライのいちじくをもどして、渋皮煮をマッシュしてあわせる茶巾をためしたい。

待ち遠しい

待ち遠しい

 

 

ト。

住み心地のいい離れの一軒家で一人暮らしを続ける39歳の春子。母屋に越してきた63歳のゆかりと、裏手の家に暮らす新婚25歳の沙希と出会い、「ご近所付き合い」が始まるが…。『毎日新聞』日曜くらぶ連載を単行本化。

「生きていることは、やっぱり懐かしいことだな!」という庄野潤三のことばを思い出す。懐かしく、待ち遠しく、そして、淡く切ない。

冒険者たち

いろいろあってお見舞いはペンディング。久しぶりにとっぷり落ち込む。連休はまだ本調子ではないふーたんとおつかいやどんぐり拾いをして近場で過ごす。栗が廉売で500グラム200円だったので、むらむらと手を出してしまう。一晩水に浸して鬼皮をむいたあと重曹で二度茹でこぼし、麦芽糖の水飴と上白糖を目分量でとかして渋皮煮にして瓶に詰めた。連休最終日の夕飯は、病みあがりのリクエストにこたえて1キロのから揚げ。酒と醤油とにんにくを揉みこんだもも肉に、小麦粉と片栗粉をまぶし、低温であげてから高温で二度揚げする樋口直哉のレシピ。家族にむかって受け売りのうんちくをいちいち語ってしまった。栗とから揚げで、指先に怪我と火傷を負った。

プ。

解説

男2人と女1人の三角関係を、瑞々しい映像で映し出す青春冒険劇。精悍なアラン・ドロンや、渋いリノ・ヴァンチュラ、コケティッシュジョアンナ・シムカスら、絶妙なキャスティングが清々しさを醸し出す。
ストーリー

夢追う2人、年の離れた親友同士の飛行士マヌーと自動車技師ローランは、若手女性芸術家レティシアと知り合う。親しくなる3人だが、マヌーは無謀な操縦で免許を剥奪され、ローランはエンジン開発に失敗、レティシアも個展を酷評される。揃って夢破れた3人は、アフリカ沖に沈む財宝を積んだ墜落機の話を耳にし、宝探しの旅に出る。輝く沖合のヨットでの、ヴァカンス気分の冒険暮らし。男たちはレティシアに恋してしまう。だが…。

途中、アラン・ドランが無精ひげにジーンズのいでたちになり見失いかけた。レティシアを失ったのちのアラン・ドロンがとにかくうつくしい。相棒役のリノ・ヴァンチュラ田中邦衛みたいなんだけどごつくていかしている。

ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室

台風一過から体調を崩したふーたんに付き添って、結局ほとんど外に出ないまま週末になってしまった。だいすきな卵でおかゆやサンドイッチや目玉焼きを作ってやると、おいしいとはしゃぐものの半分も食べられない。近くのスーパーまでハムやパンを買いに出たり病院にいったりするほかは、昼寝をしたり、いもをふかしたり、再放送の相棒をみたりする日々。きのうは図書館のリサイクル本でもらってきたお菓子の本を眺めていたらたまらなくなって、スコーンを焼いた。グレーテルのかまどのレシピで、フードプロセッサーでガーッとやる。無塩バターはなかったので、有塩バターで。型抜きをやらなかったけれど、焼けたあとで断面がみたかったことに気がついた。

ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室

ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室

 

ト。

料理に対して苦手意識があるせいで、自信を持てずにいる女たちを集めて料理教室を開催した著者。料理の基礎を学び、できることがふえていくうちに、彼女たちの人生に変化があらわれて…。料理教室が生み出した奇跡を綴る。

そういえば料理というものをきちんと習ったことがない。なんとなくやるうちに身についてきたけれど、いつもどこかしら勘どころを捉えきれていないような気がするのはセンスの問題かもしれない。料理教室に参加した会社の先輩が、まったく料理をしたことのないひとが同じクラスにいて、しめじを小房にわけるときに、どこまで食べられるのか判断しかねて、これは食べられますか、これも大丈夫ですかと小さなしめじをいちいちつまんで尋ねていたというエピソードはすごくよかった。この本では、夫が台所でマウンティング気味な女の人が、焦げた鍋をいわれたときに、水入れて火にかけておきなさいよと言い返してやったというところでグッときた。

忘れない味

おとうさん、週末からいよいよモルヒネを使っている。いよいよ、という局面が順番にやってくる。肺がんに髄膜播種というキーワードで引っかかってきた文献を読んで予後のだいたいのところはわかっていたけれど、わかっていることと実際に起こることとはやっぱり断然に違う。早いうちに一度帰っておいでとおにいちゃんが言うので、なんとか都合をつけてチケットを手配したその夜に声枯れしていたふーちゃんが高熱を出して、お見舞いは来週に持ち越し。おそらく病室にいっても、でくのぼうのように佇むしかできないだろう。自分を納得させるために行くのだと思う。とにかく頼りない気持ち。

忘れない味 「食べる」をめぐる27篇

忘れない味 「食べる」をめぐる27篇

 

ト。

食べることは生きること。林芙美子「風琴と魚の町」、南伸坊うな重はコマル」、山田太一「食べることの羞恥」など、食べ物・飲み物をテーマとした小説、エッセイ、詩歌、マンガなど、全27篇を収録する。 

天井からぶら下がっていたそば 佐野 洋子
歪ませないように 伊藤 比呂美
初めてのフェイジョアーダ 旦 敬介
白桃 野呂 邦暢

風琴と魚の町 林 芙美子
半ラーメンへの憎悪 町田 康
カタギの舌で味わう 深沢 七郎
胡瓜 鏑木 清方
すいかの匂い 江國 香織
チャカホイと軍人と女-林芙美子- 野見山 暁治
ぞろり-食にまつはる十一句- 間村 俊一
珈琲と馬鈴薯 堀江 敏幸
妻が椎茸だったころ 中島 京子
マリコ、うまくいくよより 会社では、なんだか宙ぶらりん 益田 ミリ
白い御飯 吉村 昭
ジェネリカの青い実 山崎 佳代子
眼と舌の転戦 友川 カズキ
黒曜石 平松 洋子
椿の海の記-第八章雪河原より- 石牟礼 道子
菊正をこよなく愛した 美濃部 美津子
うな重はコマル 南 伸坊
仲間 高橋 久美子
少し曇った朝 川上 弘美
食べることの羞恥 山田 太一
鬼の食事 石垣 りん
梅色吐息 吉本 隆明
最後の晩餐 ハルノ 宵子

土曜の夜にやっと算段がついて、せいちゃんのお誕生日会をやった。実に4か月も遅れてしまった。リクエストのメニューは、カレーライス、まだあったかいポテトサラダ、それからカルピスとさつまいもクリームのケーキ。ほかに、スペイン風のオムレツ、ピータン豆腐、スタッフドバケット、クラッカーと瓶詰めの豚レバーペーストを用意した。さつまいものケーキは、裏ごししたいもをホイップクリームとあわせる、その前にさつまいもペーストに砂糖を入れ忘れてしまったと思ったけれど、うす甘い味つけの好きなせいちゃんは気に入ってくれたらしい。さんざん夜更かしして、お友だちふたりは泊まっていった。

吉本隆明とハルノ宵子がならんでいて、しんとした気持ちになる。こどもたちより、わたしの思い出のために、トマトの数を勘定したりわたあめを買ったりさつまいものケーキをつくり、記しているのだと思う。

万引き家族

週末、阿波踊り大会があったとかで屋台が出ていた。ミニトマトの「樽っこくん」を箱買いしたあとで商店街をのぞいたら、八百屋の店先にわたあめの機械があったので、自転車をとめて、お財布からだした百円玉をふーたんににぎらせて、わたあめくださいって言ってごらん、というと、わたあめください!とお店のお姉ちゃんにせいいっぱいの声でいって、四色のザラメの中から迷わずピンク色をえらび、ふわふわのわたあめを作ってもらった。「だんまりうさぎ」を読んでからずっと憧れていたわたあめは、自転車を漕いでいるうちに暑さであっというまにしぼんでしまった。それでもとても大事になめて、どんなあじ?ときくと、やさしいあじ、と返ってきた。

『誰も知らない』『そして父になる』などの是枝裕和監督による人間ドラマ。親の年金を不正に受給していた家族が逮捕された事件に着想を得たという物語が展開する。キャストには是枝監督と何度も組んできたリリー・フランキー樹木希林をはじめ、『百円の恋』などの安藤サクラ、『勝手にふるえてろ』などの松岡茉優、オーディションで選出された子役の城桧吏、佐々木みゆらが名を連ねる。

治(リリー・フランキー)と息子の祥太(城桧吏)は万引きを終えた帰り道で、寒さに震えるじゅり(佐々木みゆ)を見掛け家に連れて帰る。見ず知らずの子供と帰ってきた夫に困惑する信代(安藤サクラ)は、傷だらけの彼女を見て世話をすることにする。信代の妹の亜紀(松岡茉優)を含めた一家は、初枝(樹木希林)の年金を頼りに生活していたが……。

安藤サクラ、ふとしたときに少女のような幼さが見えてものすごくよかった。地上波の放送は、何か言わねばならんのかやたら盛り上げようとするのがうるさい。