まみ めも

つむじまがりといわれます

ひみつのしつもん

相変わらず人参サンドイッチの日々なのだけれど、家に使い残しのパクチーがあったので、ツナマヨに混ぜて人参サラダとサンドイッチにしてみた。ツナマヨにあえられたパクチーパクチーらしさが消え失せて、ツナに交われば鮪になるという格言が生まれた。

せいちゃんの社会科見学がコロナ禍で中止になって、しかし弁当は中止にはならず、久しぶりに早起きをする。炊きたてのごはんにおかかをまぶして海苔弁にし、リクエストの人参とさつまいものソテーと、椎茸のグリル、豚肉のしょうが焼き、きゅうりを詰めた竹輪。竹輪にきゅうりを詰めるお母さんという新しいステージにやっと到達した。

ひみつのしつもん (単行本)

ひみつのしつもん (単行本)

 

ト。

私は私のことを監視しているかもしれない何者かの目を欺くために、見かけ上仕事をしているふりをしていることが往々にしてあるのだ。奇想天外、抱腹絶倒、キシモトワールド全開のエッセイ集。『ちくま』連載を加筆し書籍化。

目次 : 運動/ ふるさと/ アレキサンドリア/ 大地の歌/ カブキ/ 哀しみのブレーメン/ 体操/ 会員/ 不治の病/ 名は体を〔ほか〕

キシモトワールドにずぶずぶはまる悦び。会社でなにかをやらかしたとき、岸本佐知子は一千万の伝票をなくしたのだからと根拠のない勇気をもらっている。

道行きや-Hey,you bastards!I'm still here!

週末、公園にプレイパークが催されていて、木にロープをぶら下げたぶらんこだったり、焚き火を燃していたり、楽しそうにやっているので混じりにいく。げんちゃんとふーちゃんをリヤカーに乗せて動かしてみたら、二輪の荷台が不安定でぐらぐらするのでげんちゃんが怖がってすぐにおりたがる。抱っこしたところでふーちゃんも降りるといって動いたので重心が動いてバランスが崩れ、バーが跳ねあがりちょうど抱っこしていたげんちゃんにぶつかって、泣き出したげんちゃんを振り返ったら両の鼻から盛大に鼻血を流している。押さえようにも暴れて泣くし抱っこで動けないし、助けを呼びにいったふーちゃんは戻らないしで、途方に暮れたけれども、やっと血がおさまって泣き止んだところでふーちゃんがみんなを連れて戻ってきた。帰って着替えをし、顔や手をあったかいタオルできれいにして、ほっとしたけれど、血の気がひいたのか、そのあとは体が冷えてしんどかった。げんちゃんが着ていたダウンジャケットを押し洗いしたら、洗面器の水を何度か替えても薄赤く染まり、落ちこんでしまった。

道行きや

道行きや

  • 作者:比呂美, 伊藤
  • 発売日: 2020/04/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

ト。

父母を見送り、夫を看取り、娘と離れて日本へ。故郷熊本と学生の待つ早稲田を行ったりきたり…。人生いろいろ不可解不思議な日常を書き綴る。『波』『群像』掲載を加筆改稿し、書下ろしを加えて書籍化。

読みながら一人称が「あたし」じゃない!と思ったけれど、表紙はちゃんとあたしだった。伊藤比呂美はあたしじゃなくちゃね。

ベスト・エッセイ2020

いつのまにか白木蓮が咲いていてはるのはじまりが終わっていた。白木蓮の花はろうそくの火が風に揺れているみたい。散るときにきれいじゃないところも含めて好きな木だ。

久しぶりに連ドラをみている。君セカというゾンビドラマで、次々と重要人物がいなくなる。ミンジュンを愛でていたのに、彼もいなくなってしまった。人々の思いはすれ違い、憎しみが生まれ、裏切りがあり、盛りだくさんなのだけれど、作りものの世界のジェットコースターなので安心して乗っていられる。

ベスト・エッセイ2020

ベスト・エッセイ2020

 

ト。

無常なる人生の秘密は,細部に宿る。
あの人のふと漏らした一言,あの路傍で揺れる花の色……。
世がさだめなきからこそ,人は書くのだろう。
伝わる,残る,心に届く言葉の数々が,ここに―。               ―本書編纂委員 藤沢 周
平成から令和へ―
メモリアルなこの年に,新聞や雑誌等に発表された数多くのエッセイの中から,特に選りすぐった77篇!
カバー画:しまざきジョゼ

耳覚めの季節 青山七恵
市原悦子さんの読み聞かせ 秋山 仁
北斎のたくらみ 朝井まかて
古新聞を読み返す楽しみ 荒俣 宏
気づく 飯塚大幸
人生の意味深いとき 池内 紀
ウチナーンチュ肯定した革命 池上永一

ティッシュの否定形 伊藤亜紗
生島治郎さんの手紙 大沢在昌
梅雨の前に 奥本大三郎
アスレチック裏 小山田浩子
暮らすことは変化を受け入れること 角田光代
家付き娘 春日いづみ
できることならスティードで・渋谷 加藤シゲアキ
助けられて考えること 加藤典洋
ハートはピリオド 河合香織
池内紀さんを悼む 川本三郎
お菓子の家 木皿 泉
無花果 岸本佐知子
雨の日は外へ 木下昌輝
信じるチカラ 木ノ下裕一
平成最後の年 金田一秀穂
体重計が測るもの 久保友香
散歩の範囲 狭くて驚き 黒井千次
毎日が新しいという生き方 最相葉月
描くことのちから 齋藤亜矢
ぼくの勇気について 最果タヒ
恥の感覚 酒井順子
軍艦島にて 桜木紫乃
決着のはじまり 佐藤雅彦
医学知識はネタにあらず 沢田隆治
注ワード 三辺律子
狂熱の黒部 嶋津 輝
冬と猫 島本理生
動物の命を思う夏 管 啓次郎
暖簾は語る 青来有一
ショーケンとの再会 瀬戸内寂聴
幻の女 高橋源一郎
仕合わせなお弁当 髙村 薫
たっぷりの栄養を 俵 万智
堀文子先生と大木 檀 ふみ
まばたきをするように 辻村深月
人は本を読まなくなったけれども 津野海太郎
平成は夢の世 出久根達郎
三宅島でトマトを育てる。 ドリアン助川
仙童遷化 中沢新一
プラ田プラ夫 長嶋 有
人はなぜ働くのだろうか? 長瀬 海
氷白玉 南條竹則
女たちが共有する宝もの 林 真理子
転校生の時間 東 直子
九十九の憂鬱 東山彰良
丑の刻まいり 平岩弓枝
すらすら一気 平田俊子
最期に食べるもの 平松洋子
愛しの「国語辞典」様 福島暢啓
隠棲 藤沢 周
漱石が見抜いた「職業」の本質 藤原智美
AIは死なない 藤原正彦
憧憬,その先の話 古市憲寿
自分という反ー根拠 保坂和志
胃袋が察知した異変 星野博美
行動せねば…思い知る ほしよりこ
「加藤先生」 マイケル・エメリック
声を忘れるとき,言葉を消すとき 牧田真有子
常に弱い私の思い 町田 康
ごまかしやのしっぱい 町屋良平
「知りたい」という気持ち 三浦しをん
のどはこわい 三木 卓
堺屋太一さんを悼む 三田誠広
祭りの夜の秘密 村山由佳
灰になれ 森 絵都
ベストフレンド4ever 山田詠美
おさがりの教え 山西竜矢
追悼・和田誠君とのこと 横尾忠則
古代エジプト天地人 吉村作治
「終わり」で失う議論の場 ロバート・キャンベル

岸本佐知子が読みたくて借りた本。岸本佐知子のおかげで無花果をムカカと脳内で翻訳する体になってしまった。ムカカ、ことばが通じなそうだけど友だちになれるかな。

本当はごはんを作るのが好きなのに、しんどくなった人たちへ

ひな祭りはスーパーで刺身のファミリーセットを買い込んでちらし寿司にした。酢ばすと干し椎茸の煮物を前もって用意して、酢飯に干し椎茸を刻んで混ぜ込み、海苔、薄焼き卵、蓮根と三つ葉、お刺身を並べていく。毎度ながら盛り付け能力の限界が明らかになりYahoo!の雨雲レーダーのように加速的にやる気が流れてやっつけ仕事になる。お雛様は好きなのでこのまましばらく飾っていたい。大人になってシルバニアファミリーやお雛様のよさが沁みてくる。

いつも通らない道で木蓮が咲いているのを知った。春のはじまりの終わり。

ト。

仕事として、家事として、趣味として、長きにわたって料理と向き合ってきたコウケンテツ氏が、 毎日「おうちごはん」を作っている人の気持ちを少しでも軽くしたい、 気持ちに寄り添いたい、作る人が元気になるような本を作りたい、という気持ちから生まれた本作。
エッセイのほか、料理の「手間」を排除する実用レシピもたっぷり掲載。
「おうちごはん」を作ることがしんどくなってしまったすべての人へ届きますように。

( もくじ )
はじめに 「手料理に追いつめられて」
第1章: 「ねばならない」にさようなら
第2章: 理想と現実の間を埋める方法
第3章: 考えたくない日の「手間」を排除する
料理が本当に楽になる実用レシピ

( 掲載レシピ一部 )
・ 鶏手羽としいたけのさっぱり煮
・ ベーコンチーズかぼちゃサラダ
・ レタスとハムのレンジ蒸し
・ キムチときゅうりで即席オイキムチ
・ 豚と野菜の蒸ししゃぶ
・ 鮭の和風チーズホイル焼き
・ 鶏の塩焼き
・ 豚こまと春雨の中華炒め
・ トマトときゅうりの中華サラダ
・ しいたけの炒めナムル、にんじんの炒めナムル、なすの焼きナムル
・ 鶏手羽の塩スープ
・ クイック味噌チゲ
YouTubeで大人気! 野菜たっぷり豚プルコギ

おわりに

コウケンテツの飾らないやさしさに100%ORANGEのイラストでほっこりする。料理がそれほどしんどくないのは、平野レミコウケンテツ東海林さだおみたいに、脱力系のひとたちがいてくれるからだと思う。

おやときどきこども

しばらく前にげんちゃんの手にぽつぽつが出たと保育園から呼び出しがあって、あわててお迎えにいって小児科に連れていったら、先生は手を握るなりで、ひえてるねしもやけだ、と診断をくだした。ユベラ軟膏をだしてもらい、朝と夜にてのひらに塗り込む。はじめはぺろぺろと舐めたりしていたけれど、このごろはクリームを見せるとてのひらを差し出してくる。寒の戻りのたびにしもやけもぶり返し、赤紫にまだらになりがさがさとして、かゆいらしく夜中にてのひらをぼりぼりやっているのがアライグマみたい。春が来て早く治るといい。

おやときどきこども

おやときどきこども

 

ト。

1 新しい子どもたち(大人と子どもの「現実」;それぞれのストーリー ほか)

2 大人の葛藤の中身(子どもは簡単に自分を責めてしまう;よそよそしい家族 ほか)

3 子どもと意志(学問と祈り;死にがいを求めて生きている ほか)

4 子どもと言葉(言葉で伝わるという誤解;弱いつながり ほか)

ガーンとなるようなことと救いになるようなことと、両方たくさん書いてある。

ゴハンですよ

お正月に肥えたところに在宅勤務で欲望のままにチョコレートを貪っていたのが上のせになり顔も体もぱんぱんに育ってしまった。もともと丸顔であるところがさらに丸くなり、母のすべてに肯定的なフーちゃんからは、おつきさまみたいですてきだよ、と褒められたのだけれど、いい加減なんとかしないとまずいので友だちと一緒にランニングシューズを買ってきた。NIKEのペガサス37。想定の倍の値段。きょう早速友だちと別所沼を5周してきた。筋肉痛の予感がありほっとしてたりして。とりあえずビールがうまい。

ゴハンですよ (だいわ文庫)

ゴハンですよ (だいわ文庫)

 

ト。

ゴハンの食べ方、ゴハンのお供、ゴハンの思い出、おにぎりやお弁当について…。「ゴハンを、いかにおいしく食べるか」をテーマにした、東海林さだおのエッセイ集。椎名誠との対談、スズキナオの解説文も収録する。

83歳の東海林さだおにはもう少しのんびりしていてほしい気持ちもありつつ、図書館の新着資料に東海林さだおのものがあると迷わず予約をいれてしまう。いつまでも東海林さだおの新作を読む楽しみがあってほしい。

82年生まれ、キム・ジヨン

げんちゃん、アンパンマン沼にどっぷり。ぼく、と声をかけるとアンパンマン!おれさま、は、バイキンマン!わたし、は、ドキンちゃん!とこたえてくれる。めんこい。友だちがいうには、アンパンマンのフォルムがおっぱいそのものだから子どもを惹きつけるのだという。アンパンマンの鼻の部分が乳首にしか見えなくなってきた。

82年生まれ、キム・ジヨン

82年生まれ、キム・ジヨン

 

ト。

ある日突然、自分の母親や友人の人格が憑依したかのようなキム・ジヨン。誕生、学生時代、受験、就職、結婚、育児…。彼女の人生を克明に振り返る中で、女性の人生に立ちはだかる困難と差別を描く。

改姓であったり、世帯主であったり、小学校の宿題、ちょっとしたひと言、オラオラした気持ちになるようなことがうちにも外にもいく先々に無数の星のように散りばめられていて(まったくときめかない)、これらのすべてを問い詰めてつぶしていかなければならないのだと思いながらマジでしんどい。キム・ジヨンがそこら中にいる。