まみ めも

つむじまがりといわれます

ももこの21世紀日記

鳩は巣立ったのかいなくなってしまった。サッカーの練習試合があり、久しぶりにのぞきにいく。げんちゃんはグラウンドにできたスニーカーの足跡を、まーまー、ここはふまないでね、と大事にしている。黙って応援するというルールがすっぽ抜けてしまい、ふくちゃんがゴールを決めるたびにイエーヒャッホーと声をあげてしまっていたことにあとから気づいた。お昼のあと、ふくちゃんふーたんげんちゃんを連れて投票を終える。付き添いのふーたんが、投票用紙を投票箱にいれる大役をやってくれた。「投票行って外食するんだ」はいい歌詞だなと投票するたびに思う。外食はしないで友だちの家にあがり、ビールとたこ焼きをご馳走になった。

ト。

日常のシンプルな幸福を綴ったさくらももこの絵日記エッセイ第6弾。オールカラーのイラストはすべて描き下ろし。さくらももこ携帯サイトに掲載された「ももこの近況」の2005年11月〜2006年10月をまとめ書籍化。

せいちゃんと図書館にいき、さくらももこの戸棚を教えてあげた。おもしろかった?と聞いたらイマイチな反応なのでどうしたのかなと思ったらさくら剛という全然ちがう隣に並んだ作家の本を借りていた。次はちゃんとももこを借りて、おかあちゃんも読んでねと渡される。

ラモーナとおかあさん

週末、近くの公園の一画でふーちゃんの運動会だった。ソイヤと玉入れとリレーの三種目。秋晴れの日で、午前の日差しがまぶしかった。はっぴにバンダナのはちまきをして、ぴょんぴょん跳ねる姿を見ていたら泣けてきた。帰ってあわてて布団を干す。庭の木に鳩が巣を作り、ふたごの雛を育てている。親鳥が来ると雛はそろってそっちに顔を向けている。鳩の雛はほとんど鳴かないでおとなしくしている。

ト。

「だれも、あたしのこと、すきじゃないんだ」ラモーナのことをだれもわかってくれない悔しさ腹立たしさ。おかあさんに「あなたなしでは、とてもやってけないわ」といってほしいと心からおかあさんを求める気持ち。感受性鋭い女の子ラモーナのなやみはつづく。

ベバリイ・クリアリーが春先に亡くなっていたことを知る。ヘンリーくんシリーズをありがとう。

銀の夜

せいちゃん、すっかり食が細くなりお豆腐ぐらいしか食べたいものがないというし、大好きな本も疲れるから読まないというのでさすがに心配になり、休みをとって総合病院の小児科へ連れてった。丁寧に診察をしてもらい、疲れがたまっているんだろうということで、帰りにコンビニに寄り好きなもの(サンドイッチとさきいか干し芋)を買って公園でひと休みした。ほっとしたのか食欲も出てきたらしい。次の日も学校は休み。お昼であがりふたりではま寿司にいった。ビールとジュースで乾杯をした。三年前に死んだお父さんが最後に家に寄ったときにみんなで出かけたのがはま寿司で、かならずお父さんの好んだわさびなすを頼む。その日は夢にお父さんが出てきて、夢のなかでは病も死んだこともすっかりチャラになっていた。小鳥遊が言っていたように、いまもお父さんははま寿司にいてわさびなすを食べているんだなという気がする。せいちゃん、半月ぶりに学校に行った。

銀の夜

銀の夜

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ト。

女子高時代に少女バンドでメジャーデビューをしたちづる、麻友美、伊都子。35歳の今、欲しいのは生きる手応え。これからの人生に、あれ以上興奮することはあるのだろうか…。『VERY』2005〜2007年連載を書籍化。

自分が書いた小説をまるっと忘れてしまっている角田光代がすごい。

るん(笑)

げんちゃん、お風呂でおちんちんがあったりなかったりするのが気になるらしく、おかあちゃん、ないの?と聞いてくる。ないんだよ、どこ行っちゃったんだろ?げんちゃんのくれる?ときいたら、いーいーよ!とやたら気前がよかった。女の人についているものを、いなかでは、ちゃんちゃん、ちゃんぺと呼んでいた。女の子だからちゃんなら、男の子はくんくんやくんぽじゃないのはなんでだろうと思っていたのを久しぶりで思い出す。

ト。

平熱は38度で、病気の原因はクスリを飲むこと? お祈りで全ての病気を治す? SF界期待の星・酉島伝法が、スピリチュアルと科学が逆転したユートピア・ニッポンを描く。『群像』『小説すばる』掲載に加筆修正し単行本化。

三十八度通り p5-88
千羽びらき p89-177
猫の舌と宇宙耳 p179-244 

このディストピア具合、しかし見たことがあるぞ。

死ぬ気まんまん

先週からセイちゃんの体調がくすぶっている。週末にいったん元気になって、サッカーをして好き放題にシウマイやら春巻やら炒飯やらを食べたら月曜は起き上がれなくなりなにも食べなかった。うどんも半人前。お医者にも二回いった。仕事のあとでお医者をすませ、げんちゃんをはさんで三人で手をつなぎ、月を見上げながら歩いた。家の玄関先につくと日が暮れている。二度目の金木犀の花も落ちてしまった。

ブ。

ガンが転移し余命2年を宣告されながらも、煙草を吸い、ジャガーを購入し、ジュリーにときめく。佐野洋子の思いがいっぱいに詰まった魅力的なエッセー集。主治医との対談、関川夏央が綴った佐野洋子の思い出も収録。

晩年の佐野洋子はジュリーだったりみのもんただったり、けっこうとんでもないものが好きで、そういうところが老いる楽しみなのではと思う。前向きに死ねるのうらやましい。死ぬ気まんまんでいきたいね。

ラモーナとおとうさん

「しっぽちゃん」が二匹になった。ジャムの空き瓶のなかでツー、ツーと泳いでいる。

しばらく前にいなかから新米が届いた。週末を待って新米を炊く。はじめはやっぱりおにぎりで。ぴかぴかつやつやの新米のおにぎりは最高のご馳走だと毎年思う。人生のなかで一番おいしかった思い出は、稲刈りのときにばあちゃんが作ってくれた梅干しのおにぎりで、びっしりと海苔が巻いてあって、広告にくるまれていたなあ。

ト。

ラモーナはおとうさんとおかあさんとおねえちゃんとの4人家族。おとうさんが仕事をやめることになり、家族の雰囲気は悪くなります。小学校2年生のラモーナも、自分なりに何とか家族のためになるように考えますが、なかなかうまくいきません。けれども、クリスマス近いある日、いい知らせが届きました。

ヘンリーくんシリーズも終盤。読み終えてしまうのがもったいない気持ちで大事に大事に読む。

短くて恐ろしいフィルの時代

郵便配達は二度ベルを鳴らし、金木犀は二度花をつける(こともある)。朝、開け放した遊歩道沿いの窓際に立つと、金木犀の気配がうっすらとする。秋のはじまりが二回あったんだな、今年は。毎朝ジャムの空き瓶のなかでスイスイ泳ぐしっぽちゃんを見つけてほっとしてから仕事にいく。

ト。

小さな小さな「内ホーナー国」とそれを取り囲む「外ホーナー国」。国境を巡り次第にエスカレートする迫害が、いつしか国家の転覆へとつながって…。前代未聞のジェノサイドにまつわるおとぎ話。

前代未聞の寓話なのに、どこか身に覚えがある。