まみ めも

つむじまがりといわれます

きのうの世界

一年で一番おそい日の入りがやってきた。暑さは募りつつ、夕暮れが早くなっていくのに合わせてさみしさが蓄積していく。実家から氷室饅頭が冷凍のヤマト便で届いた。冷凍というのが氷室饅頭っぽい。お殿様にヤマト便で氷をおくったら怒られちゃうのかな。こし餡のなかにうっすらと栗餡がはさまっている。今年はむらなか菓子舗のもの。お母さん、毎年氷室饅頭を忘れずにおくってくれて、ありがたい。ふみちゃんはあんこが苦手なので食べない。

卜。

塔と水路がある町のはずれ、「水無月橋」で見つかった死体。一年前に失踪したはずの男は、なぜここで殺されたのか? 誰も予想できない結末が待っている! 恩田陸が紡ぐ、静かで驚きに満ちた世界。

恩田陸の世界は、つくられた感が居心地よく、安心して入っていって戻ってこられる。

冷い夏、暑い夏

梅雨いりというものが曖昧になってしまった。まだクーラーはいれないで、窓を開け放す。ときどき風がふくといい心地がする。エレベーターでいっしょになった会社の人が、誕生日が六月のなかばで、梅雨入りしないまま誕生日を迎えるのはめずらしいと言っていた。日当たりのよいところのあじさいはふちがセピアになっている。げんちゃんが、あじさいの花をおぼえて、にじみたい、と教えてくれた。

古本いちで古い単行本を購入。

働き盛りの弟を突然襲った癌にたじろぐ「私」。手術後1年以上の延命例が皆無なことを知らされた「私」は、どんなことがあっても弟に隠し通すことを決意する。ゆるぎない眼でその死を見つめ、深い鎮魂に至る感動の長編小説。

しんどい。知らせずに見送ることも、知らずにいくことも。吉村昭と友だちにはなれないと思う。

バッテリーⅣ

げんちゃんが先週の水曜日で5歳になった。お産の日のことを思い出すのも5回目だ。

誕生日の次の日、職場にいたら保育園から電話がかかり、ちょっと様子がおかしいなと思ったら熱があります、というので、あわてて荷物をまとめる。ノートパソコン、キングジムの5センチのファイルを一冊、重たいがしかたなく持ち帰る。帰り際の駅前でうどんを買おうと思ったら五人前のパッケージしかなくますます重い。保育園についたら、事務室のすみに横になって、しくしく泣いていた。電話でふみちゃんを呼んで荷物を持ってもらい、抱っこで遊歩道を歩いて帰る。うちについてほっとしたら、げんちゃんもほっとして、ソファに盛大に吐いた。シャワーにいれ、ソファのカバーをはがし洗濯機をまわし、めそめそ泣くのでとにかく近くにいなければならない。

日曜日までぐずぐずと熱が続き、月曜日まで休み。

エフちゃん本。

「自分の限界の先を見てみたい。自分の力を見きった先に行ってみたい」強豪横手との練習試合で完敗した巧たち。自分では巧の球を受けきれないのでは、という恐怖心を感じてしまった豪は…!

おもしろくてどんどん読んでしまう。圧倒的な青春がある。

犬がいるから

日曜日はふくちゃんがキッズマッチ(浦和レッズの前座試合)に出るというので、サンドイッチ(たまごと、ハムとチーズときゅうり)とぬか漬けと焼きおにぎりをもって、少年団の家族みんなで大きいバスにのっていってきた。開場待ちから列に並んでビールをたしなみ、スタジアムではご機嫌でエールをとばす。ふくちゃん、一点決めた。場内アナウンスで名前が呼ばれる。ビールがますますうまい。レッズは間際のPKで負けたけど、こどもたちは本当によい試合をした。なによりみんなの顔がきらきらしていた。

卜。

新しい家族が加わった! 元気いっぱいでいたずら好き。みるみる大きくなっていく黒ラブラドール・レトリバー、ハリーとの愉快でやさしい日々を綴る。ウェブマガジン『あき地』連載を書籍化。

うちにいた犬たちのことを思い出す。情けない犬ばかりで、本当にいとしく、いなくなってからもずっとそばにいてくれる。

ここにいるあたたかい犬 もういない犬 いないけどいつづける犬/岡本真帆

 

ライオンハート

土地の決済を月末にひかえた月の半ばになって、近くの旗竿地(古家つき)が売りに出され、どたばたしている。資産価値がないとは言われつつ、遊歩道沿いの暮らしを手放したくない気持ちがあり、手付金を放棄してその土地にしようとしている。そもそもこどもに資産を残すつもりがないのだった。こんなふうにおもしろいかおもしろくないかで何かを選ぼうとするのは父親譲りだと思う。

卜。

離れた瞬間から会う瞬間を待ち続けている。生まれる前も、死んだあとも。いくつもの時代を必死に生き、細胞に刻まれた想いを頼りに、束の間出会い別れていく男と女。求め合う二人の感情を描く連作集。

出会った瞬間に終わりが約束されているというのは、本当はすべてがそうなのだけれど、ぎゅっと凝縮された運命にときめいてしまう。

好きになってしまいました。

ふみちゃんはとにかくだんごむしが好きで、虫かごにだんごむしを集めて、煮干しをいれたりしている。ポケットにいれてイオンにも連れていく。学校にいくとき、庭先でだんごむしを拾って、登校班のところで、帰してあげてね、と渡される。手のひらのなかでだんごむしが開いてくすぐったい。保育園のときも、帰り道の遊歩道でだんごむしをたくさん拾うので、袋をもって歩いていたのを思い出す。

卜。

「キュン」のある毎日は、おおむね幸せです。愛と笑いと妄想に満ちた三浦しをんの日常、ときどき非日常。2012年から2022年のあいだにいろいろな雑誌・新聞で書いたエッセイをまとめる。

三浦しをんは、ひょっとして、この文章の感じで会話をする人なのか…?平野レミ黒柳徹子も、たしかに書いた文章としゃべり文が同じだけれど。しゃべっているところを見てみたい。

おつかれ、今日の私

げんちゃんも少年団の練習に参加するようになり、年かさの子たちにまじってボールを追いかけている。きのうの練習ではじめてゴールを決めたらしいけど、ナイスゲンゾー!って言ってもらえなかったんだ、とちょっと残念そうにしていた。平日の朝、在宅で仕事のとき、玄関先で見送るわたしに、自転車のうしろのげんちゃんが「ままだいすきだよ〜」と言いながら曲がり角の向こうに見えなくなる。笑うと鼻のまわりにしわが寄ってファニーな表情になる。将来の夢は、にほんだいひょうとままのことすきめいじん、の二本立て。もういっぺん言ってもらって動画におさめた。

卜。

目次

最近、なんにも報われない
一歩を踏み出せばなんとかなるかもよ
自分への期待を裏切る自分
婚活のしんどさについて
取り返しのつかない失敗を乗り越える方法
洗い物をしながら母を思う
なんのために生きているか
ケイミ先輩が教えてくれたこと
なりたい自分をイメージするなんて
人の気持ちを矮小化すると致命傷になるよ
トンネルの出口で待つ
働く人の強さと輝きの話
おつかれ、若かった頃の私。
名前がついて腑に落ちる
思い出し怒りに満足する夜もある
上手に休むのも能力だ
ようこそ、風の時代
白黒つけない生き方
面倒と感動の全面対決
「おつかれさま」に込めた気持ち
毛足の長いじゅうたんの上で
落ち込みと立ち直りのあいだ
つまんないのだ飽きているのだ、自分と日常に 
不本意な扱いを受けた
辻褄が合わなすぎる
ギリギリのライン、大丈夫?
ダメージを克服しようなんて考えなくていい
自室にハワイを手繰り寄せるには
そういう性分
自分と他者との境界線
なにをしても許されてしまう人をうらやむ
自分ではどうにもならないこともある
彼にピッタリな子はほかにいる
ダメダメな日の妄想術
弱った自分からの脱却イニシエーション
好きでもない人に好かれなくていい
私はしあわせジャンキー
美味しいねえと楽しいねえ
洗顔ほど面倒くさいものはないよ
「必要とされている」と「利用されている」は別モノだ
この人と一緒にいれば……
仕事でいちばん大切なこと
失敗が私を作ってきた
仲良くなりたかったら本音を言うしかないのだ
悪口大会の教訓
一度ぜんぶ止めてみたらいいのよ
「私なんかが」の呪い
しあわせについてのネオ心理

ジェーン・スーがすこし先を歩いてくれているのはとても心強い。