月曜日、Maxときと特急はくたかを乗り継ぎして小松に着いた。セイちゃんが、電車のなかでお弁当たべる、と楽しみにしていたので、日曜の夜におかずを用意しておいた。お弁当になにいれる?ときくと、なにかでみたお弁当が頭にあるらしく、おにぎりと、ウインナと、たまごやき、とリクエストをされた。みんなが寝静まった階下で、台所だけ電気をともし、ウインナを炒め、たまごやきを巻いて(丸のフライパンで焼くので両端が細っているのをつまみぐい)、ミックスベジタブルを彩りにいれ、あとは胡瓜の漬けたのとプチトマトという、おそろしく簡単な弁当。朝、おにぎりをつくって、おやつ、着替え、おむつ、おもちゃ、ショルダーバッグと手提げに詰め込み、背中に11キロのフクちゃんをおぶい、セイちゃんと手をつないで外にでたら風がえらく冷たく吹いて、立ちすくんだセイちゃんにフリースのフードを被らせた。道中、フクちゃんがウンチを二回放ち、はくたかが遅れて在来線の乗り継ぎで三十分待たされ、ねむたいセイちゃんがやたらだっこをせがむというイレギュラーはあったが、おおむね平和に過ぎた。夜、実家の風呂に浸かりながら、セイちゃんに、きょうはなにをしたの、ときくと、マックスとはくたかのったの、おべんとたべたの、と答えてくれる。お弁当、なにが一番おいしかった、ときくと、ちょっと考えてから、やきとりおいしかったの、と、それは弁当の中身ではなく越後湯沢で落ち合ったおかあさんがお土産に買ってきたつくね串なんだった。今度はつくねのお弁当にしてやろう。
- 作者: バリーユアグロー,Barry Yourgrau,柴田元幸
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1999/08/30
- メディア: 文庫
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