夏休みの経過をしるしておく。下田に三泊、それから鎌倉に三泊。下田ではプールと海で遊び、ホテルの敷地から外には一度も出なかった。鎌倉についた翌日は小田急デパートののりものフェスタにいく。たいへんな人出で、セイちゃんはすっかり雰囲気にのまれて放心していたが、ジオラマのなかを走るNゲージをかぶりつきで眺め、ミニ江ノ電に乗り、車掌さんの制服で敬礼をキメていた。念願のプラレールをついに買ってやった。次の日は水族館。人波がものすごく、あしかといるかのショーをみて退散。あしか、まみという名前で、飼育係のおにいさんが、「まみ、がんばったね」「まみ、よかったよ」とそれはそれはやさしい声をかけるので、妙に照れた。今度から落ち込んだらエノスイにいって、おにいさんに元気づけてもらおうと思う。
- 作者: 北村薫,宮部みゆき
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2008/01/09
- メディア: 文庫
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冷たい仕事(黒井千次)
むかしばなし(小松左京)
隠し芸の男(城山三郎)
少女架刑(吉村昭)
あしたの夕刊(吉行淳之介)
穴―考える人たち(山口瞳)
網(多岐川恭)
少年探偵(戸板康二)
誤訳(松本清張)
考える人(井上靖)
鬼(円地文子)
ブックオフで105円。夏休みの携行用に、図書館でいくつか予約をいれて、借りにいったら、ちょうど閉館しちゃったところだったので、急遽本棚から選ぶことになった。どれぐらい本を読めるかわからんので、短篇集を。吉村昭をひさしぶりに読んだ気がする。はじめて読んだ吉村昭は、たしか、大学生の休暇で、いとこのたまちゃんとタイへいくのに、旅の空のおともに羽田で買った「破獄」だった。なんでバケーションに破獄なのかといまだに思うが、執念の破獄劇がとにかくおもしろくて、旅先で分厚い文庫を読みふけった記憶がある。読み終わってみれば、タイのスコールがあがったあとの蒸し暑さがぴったりするのだった。少女架刑はクレゾールのにおいのするひと気のない病院ような、透明な肉体の不在による存在感が際立つ話だった。吉行淳之介が、入院した病室を移動することになって、亡くなったひとの病室にうつることになり、昨日までベッドの上を占めていた空間に自分の肉体が嵌っているような感じと表現していたのを思い出す。たくさんの肉体の不在を押しのけて、いまここにいる自分。