まみ めも

つむじまがりといわれます

街のあかり

宿六は風邪をこじらして、薬との相性が悪いのか腹痛で起き上がれない日が続いていた。朝、こどもらを起こさないようにそっと蒲団を這い出し、薄暗いベランダで予約しておいた洗濯物をほし、朝食のしたく、こどもらを起こし、ごはんを食べさせ、朝の支度、せかしても間に合わないでフクちゃんを乗せたベビーカーを押してセイちゃんと小走りして保育園にいき、それから駅まで走ったりした。実際白眼のひとつやふたつは剥いていたのではないかと思うぐらい余裕がなかった。金曜は、フクちゃんの病院があり、午後は仕事に出ようかとも考えていたが、結局病院で待たされて一日休みをとった。フクちゃんの湿疹は、ステロイドで軽快するもののなかなかすっきりとは消えず、薬を変えてひと月様子を見るが、それでだめなら生検をやるらしい。フクちゃんを保育園にあずけ、駅前でコーヒーを飲み、ひと休みしてから病人のためにりんごやバナナを買って帰宅。ラムレーズンのチョコレートに慰めてもらう。土曜の夜、焼酎をストレートでコップに一杯飲んでみたら、胃があつくなった。

街のあかり [DVD]

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宿六がつたやで借りてきた。これを見たときは宿六は普通にしていたので、十日以上前だろう。アキ・カウリスマキの映画で、冴えない男のとことん冴えない恋の話。アキ・カウリスマキの映画は、じっと真正面からカメラをみつめる無言の視線が特徴的で、いち、に、さん、だまってじっとみつめられるというのが非日常的な緊張をもたらす。街のあかりがあたたかく、現実はとことんつめたいが、便座だけがぬくいみたいに、ふとしたやさしさがかすめて終わった。