まみ めも

つむじまがりといわれます

ゴッドファーザー Part III

また歳をくった。誕生日は、休みだったので、みんなで街に出て、デパートを歩いてみたが、欲しいものがなく、こどももすぐに飽きてしまい、バスに乗ってファミレスにいった。こどもたちはお子様ランチだったが、簡単にたいらげてしまいそうだったので、わたしと宿六のごはんを大盛りに変えてもらった。一番ちいさなサイズのビールを注文し、乾杯をした。家に戻りこどもたちが昼寝するあいだに挟まって、せせこましく本を読んでいたが、仰向けで読んでいたら腕がくたびれてきて、こどもたちの身体から伝わる熱が心地よくなりそのうち寝てしまった。昼寝のあとで、焼いてあったケーキにとちおとめをのせて食べた。冬の夕暮れの、斜めに傾いだひざしが、いまの自分の年齢にとてもぴったりする。腰痛もあるし、肌荒れもしみもあるし、下腹部にはしっかりと肉がついていて、みごとな中年のフェノタイプをつくっている。だけど、はたらいて、ごはん作って、こどもを寝かしつけたり、合間に好きな本を盗むように読んで、ちょっとのビールでねむたくなる、そこら中にあるようななんでもないような毎日を重ねていくのは、自分には身に余るしあわせのようにも思う。なにひとつ人並みにやれない気がしていたが、それでも案外人並みらしき人生をいきていることに、ときどきくらくらと目眩がする。

ゴッドファーザー PartIII <デジタル・リマスター版> [DVD]

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図書館で予約してあったのが、順番がようやくめぐってきた。十代らしきソフィア・コッポラが出ている。アル・パチーノもずいぶん傾いでしまった。でも、アル・パチーノは、うつくしさの余韻だけでなくやっぱりすごい俳優なのだった。まっしろになったアル・パチーノはすごかった。ソフィア・コッポラがベージュのドレスを着て出てきたときに、撃たれて血がにじむのが目に浮かんで、そんな格好ではいかんよと思ったのが、やっぱりその通りだった。ゴッドファーザーはこれで全部みたが、ひと通り見たあとで、またはじめから見たいと思わせる。しあわせの裏側にかなしみが必ず待っていることがわかる展開で、おそらく何遍みたってナイフで切られるようなおそろしさがきらめくと思うのだけれど、目が離せない魅力があるのだと思う。アル・パチーノロバート・デ・ニーロの太刀打ちできない若さにももう一度出会いたい。
ゴッドファーザーをみた夜中に、フクちゃんが盛大に鼻血をたれたので、シーツと枕がゴッドファーザー仕様になった。