恋愛読本

かつて、雛形あきこがチョモランマならおまえのは和田山（実家の裏にある古墳群になっている丘のような代物）といわれた、わたしのけなげなおっぱいだけれども、フクちゃんが乳をのまなくなったら、いよいよむなしくなってしまった。世の中には、ないものがさらになくなるという怪現象が起こったりもするのだ。フクちゃんは、思い出したように、今になってオッパイオッパイというようになり、寝床にはいると、うすい胸にひんやりした手をすべりこませてしたり顔をやっている。こちらは秀吉になったつもりでふくふくした手をあたためてさぶいぼを作る。ないもので安らげるというのはたいした仙人様だ。

恋愛読本 (1984年)

池内検索による図書館本。あとがきによると、「恋愛という哀しく、たのしく、愚かしい人間のいとなみを、自分が多くを学んだ文学をおりまぜながら、哀しく、たのしく、愚かしいものとして描いてみようとこころがけた」本。斎藤緑雨の油地獄にでてくるような色男になるためのいろは本ではなかった。ウェルテルもいたし、ジュリアンもいたし、もちろん結晶作用についても言及。漏れなく全部読んでいるのだった。だからモテねーんだよ、と自分に悪態をつきたくなる。

セックス消費カロリー
抱擁 四カロリー
キス（軽いもの） 三○カロリー
キス（情熱的） 一一○カロリー
前戯（普通の場合） 四○カロリー
前戯（情熱的） 一六○カロリー
性交 三二○カロリー
オルガスム 四○カロリー
後戯 一五カロリー
合計 七一九カロリー

週刊誌からの引用だったか、ちょっとした現代詩のようで気に入ったので引用。普通の場合と情熱的の場合とを記してあるきめ細やかさ。しっかりセックスすると、わたしの好きなチョコファッションならふたつ分、キティちゃん的にいうならりんごいつつ分、ずいぶんおなかが空きそうだ。