まみ めも

つむじまがりといわれます

青いお皿の特別料理

土曜日、遊歩道わきの三角公園で花見をした。ブランコとすべり台があるだけのちいさな公園だけれど、桜が公園の中と遊歩道をはさんだ駐車場に4本咲いて、爛漫になっている。桃の木が1本、枝垂れ柳が2本、濃い桃色と緑が鮮やかに彩りを添えている。レジャーシートを広げてお弁当にする。枝豆、なると巻きのバターソテー、ウインナーに冷凍のお惣菜のからあげ、カット野菜で作ったきんぴらごぼうに卵焼き、プチトマトをタッパーにいれ、昆布と梅とゆかりとごま塩のおにぎりはラップでくるんだ。なると巻きをフライパンでソテーするとき、フライパンの中をののののの、とピンクののの字が埋めつくす。

青いお皿の特別料理

青いお皿の特別料理

川本三郎で蔵書検索して予約をいれておいたト本。青いお皿の特別料理Blue Plate Specialは、大衆食堂の「本日のおすすめ」のこと。

映画・文芸評論家による、酒をめぐる、食をめぐる、記憶をめぐる短編小説集。「普通」の人々の淡々とした日常の中に浮かび上がるドラマ。NHKテキスト「男の食彩」に掲載された連載に書下ろしを加えて再構成。
飛行機が欠航になって
川を見に行った日
友が逝く
マユミの花
水田のパラソル
メンメの夏
事務所開き
モヤシのひげ根
再び咲き
落葉を焚く
古本を仕入れに
青空のピラカンサ
みんなで昼食を
そば屋の浮き燗
スタイリストの春
木に酒を注ぐ
オジギソウ

『「普通」の人の淡々とした日々』を描いた連作短篇。それぞれの暮らしが袖触れ合ってめくりめぐっていく。小説だけれど、エッセイと同じように川本三郎と一緒にまち歩きをしているみたいな気楽さが心地よい。10代20代のころの読書は非日常へのトリップを求めていたけれど、中年になってありふれた1日をらせんのように繰り返しつつ似たような暮らしのにおいを本の中にも求めている自分がいる。本当のスペシャルというのは、特別なことのなにもない毎日の暮らしのことかもしれない。