まみ めも

つむじまがりといわれます

ほとんど記憶のない女

フーちゃんの慣らし保育がはじまった。初日の月曜は2時間。駅のそばの喫茶店で時間をつぶす。ストロングコーヒーとモンブランのセット、730円也。モンブランモカ色のスポンジに生クリームがつまってマロンクリームが絞ってあった。BGMはジャズの有線。通りを眺めるすこし薄暗い席で本を読んでいたら、チラチラとお客がやってきて、常連らしいおばさんたちが、あの子が喪主やったんでしょ、たいしたもんじゃないの、と話している。背中にすわったお客がたばこを吸い始めたのをしおに店を出て、八百屋でブロッコリーとさつまいもとバナナとアボカドを買った。フーちゃんは、はじめは泣いたけれど、そのあとはおもちゃで遊んだり、お庭で昼寝したりして過ごしたとのこと。家に帰ってからコートを脱ぐと、ふわっと喫茶店のたばこがにおった。ちょっと嗅ぎつけないいいにおいのたばこ。

ほとんど記憶のない女 (白水Uブックス)

ほとんど記憶のない女 (白水Uブックス)

ト本。

「12人の女が住む街に、13人目の女がいた…」 悪夢的ショート・ショートからリアルな超私小説まで、ちょっとひねくれたあなたに贈る51の短編。

ほとんど記憶力のない女が読んだら、内容はほとんど残らないのに感じだけはしっかりと残って、まんなかの部分がないのか、それともまんなかの部分はあるけどからっぽなのか、という本のなかに出てくる禅問答のようなことになってしまった。ドーナツとおなじで、まんなかの部分はあるけどからっぽに一票。ドーナツにまんなかはないという人とは友だちになれません。