7月に入ったその日に初蝉を聴いた。あけて土曜はじわじわと暑さがつのって、この夏はじめてクーラーをいれた。庭の紫陽花をふたつ、ヤクルトからもらったちいさな瓶にいけておいたのが、セピアに枯れて食卓に残っている。フクちゃんが、おかあちゃんはすてきなままだよ、というので、そうかなあ、というと、くろいすかーとはいたらすてきなままなんだよ、という。フクちゃんは黒いスカートが好きなんだね、というと、かくりゅうのまわしとおなじだからさ、といった。おかあちゃんのスカートは締込みと同義。日曜はデニムの締込みで台所という名の土俵で汗だくで常備菜をこしらえた。なすの味噌炒め、切干し大根の煮たの、マカロニサラダ、蒸し鶏、もやしのナムル。フーちゃん、金曜から目やにと咳、昨日は38度。セイちゃんの咳もなかなか治らないでいる。
- 作者: 和田誠
- 出版社/メーカー: 河出書房新
- 発売日: 2014/11/11
- メディア: 単行本
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一代目のニャンコ「桃代」、二代目の「シジミ」、三代目の「チー」。イラストレーターの和田誠が、結婚してから飼ってきた3匹の猫の思い出を綴ったエッセイ&イラストレーション集。
平野レミのイラストがところどころにあって、いい絵を描くのにおどろいた。猫の背中のほのぼのとしたあたたかさと、その奥の背骨の感じを思い出す。ミーちゃんもフーちゃんも、もうこの世にはいないけれど、あの感触は指先からなくならない。和田誠も町田康とおなじで、猫をひとりふたりと勘定する。