まみ めも

つむじまがりといわれます

とりつくしま

先週末、久しぶりにカレーを煮た。カレーを煮ると誰かの具合が悪くなるジンクスがあったけれど、今回はカレーを仕込む前から若干フラグ気味だったのが、持ちこたえて今に至る。週末はフクちゃんがお腹を痛くして少しだけ熱を出した。土曜の朝におかゆを炊き、夜はきつねうどん。それから鍋にたっぷり二杯分のおでんを仕込む。大根を下ゆで、こんにゃくを湯通し、油揚げは油抜きしてから餅をいれ、ゆで卵の殻むき。練り物はちくわにちくわぶ、さつま揚げ、「すじ」。ぐつぐつとセピアに煮込まれていくおでんを眺めていると、ぐっと秋が深まった感じがする。

とりつくしま (ちくま文庫)

とりつくしま (ちくま文庫)

ト本。

あなたは何に「とりつき」ますか? 死んでしまったあなたに、とりつくしま係が問いかけます。そして妻は夫のマグカップに、弟子は先生の扇子に、なりました。切なくて、ほろ苦くて、じんわりする連作短篇集。
ロージン p7-23
トリケラトプス p25-41
青いの p43-61
白檀 p63-82
名前 p83-100
ささやき p101-119
日記 p121-140
マッサージ p141-156
くちびる p157-171
レンズ p173-191
びわの樹の下の娘−番外篇− p193-199 

なにを「とりつくしま」にするかということを考えてみる。家族みんなの行く末をそれとなく察することができて、できれば数十年で経年劣化して果てていくもの。自分らしく本にとりつこうかとも思ったけれど、宿六の好きな「異邦人」しか思い浮かばない、なんとなくカミュはなあ。スノードームもいいし、水道橋の橋のふもとで拾ったミニカーでもいい。できれば半分がらくたのようなもののほうが「らしい」気がする。