まみ めも

つむじまがりといわれます

木菟燈籠

日曜のお昼は来客で、料理をつくった。マッシュポテトにレトルトのミートソースとチーズをかけて焼いたアッシュ・パルマンティエもどきに、辻仁成のレシピの卵焼き、セロリと蒸し鶏のサラダ、トマトとモツァレラチーズのスパゲティ、ピクルスを用意した。昼ビールに梅酒でいい加減な気持ちになり、夜はあまりものにスパゲティを茹でてマーガリンとふりかけのたらこを混ぜて出した。
フーちゃんは、もうおっぱいには未練がないらしく、夜もよく眠り、これまで食べつけなかったさつまいもや卵を好んで食べるようになった。おっぱいは代替可能だったのだ。寝るときには歌をうたってやる。フクちゃんが運動会でやったお祭り忍者が好きで、ソーレソレソレおまつりだーと歌うと、合わせてダーと声をあげ、最後はヤーと威勢よくかけ声を発して布団をはねのけ拳を前に突き出す。何度も歌いそのたびに布団をかけ直す。こんなに興奮していて眠るのかと思うけれどもそのうちちゃんと寝る。あとから布団にくるフクちゃんが、ねんねのおうたうたって、というので揺籠の歌を歌おうとすると怒って歌わせない。フーちゃんの寝たあとでひっそり声で歌う。

木菟燈籠 (講談社文芸文庫)

木菟燈籠 (講談社文芸文庫)

ト。

好きが高じていきなり小鳥屋を始めた教員仲間。商売はうまく行かず復職の世話をする成り行きに…。人々の心のありようを、柔らかい眼差しと軽妙な筆致で描き出した作品集。表題作など全11編を収録。 
四十雀 p7-22
槿花 p23-41
エッグ・カップ p42-51
鳥打帽 p52-72
ドビン嬢 p73-89
枯葉 p90-104 
木菟燈籠 p105-127 
一番 p128-150 
入院 p151-165 
胡桃 p166-187 
花束 p188-201 

小沼丹の短編がものすごくよくて、なんともいえない胸にむくむくするものがあった。なんでもない人たちのなんでもない生活の切れはし。植物や鳥の名前が、読めそうで読めなかったりするのも、なんだかうれしい。読めないままでおいておきたいものもあって、字のかたちだけで音無しで読んだ。