まみ めも

つむじまがりといわれます

〆切本

おっぱいをやめてひと月足らずで月のものが戻り気だるい週末だった。ホルモンに簡単にマウントを取られてしまう肉体と精神のままならなさよ。そこにおもしろくないことがあって、チョコレートをかじりテイストオブ苦虫の口直し。チョコレートは裏切らない。恋の高揚は三ヶ月くらいしか脳内麻薬を分泌できないけれど、チョコレートはずっと脳内麻薬を出す、という話を思い出す。雨に降られた月曜の帰り、セイちゃんが「えんのおにわでひろったよ」と椿の花をくれた。下駄箱においてあったのですこししぼんでしまった花を、家に帰って小皿にはった水につける。花はどんどんしおれていくけれど、損なわれた気持ちにセイちゃんが元気をくれた。

〆切本

〆切本

なぜか勇気がわいてくる! 夏目漱石谷崎潤一郎谷川俊太郎吉本ばなな西加奈子ら、明治から現在にいたる90人の書き手たちによる、泣けて笑えて役に立つ〆切にまつわるエッセイ・手紙・日記・対談などを収録する。
締/切 白川 静
机 田山 花袋
文士の生活/執筆/読書と創作ほか 夏目 漱石 
はがき 大正二年/大正六年 島崎 藤村
作のこと 泉 鏡花
はがき 昭和六年 寺田 寅彦
手紙 昭和二十一年 志賀 直哉
私の貧乏物語 谷崎 潤一郎
新聞小説難 菊池 寛
『文藝管見』自序 里見 紝
無恒債者無恒心 内田 百間
手紙 昭和二十六年 吉川 英治
遊べ遊べ 獅子 文六
はがき 大正十五年 梶井 基次郎
三つの連載長篇 江戸川 乱歩
書けない原稿 横光 利一
日記 昭和十二年 林 芙美子
横光利一の霊に 稲垣 足穂
日記 昭和三十一年 古川 ロッパ
私は筆を絶つ 幸田 文
人生三つの愉しみ 坂口 安吾
日記 昭和二十五年/昭和三十五年 高見 順
仕事の波 長谷川 町子
手紙/はがき 昭和二十三年 太宰 治
清張日記 昭和五十五年 松本 清張
文士の息子 大岡 昇平
手紙 昭和二十七年 小山 清
身辺雑記 吉田 健一
仕事にかかるまで 木下 順二
私の小説作法 遠藤 周作
ガッカリ 山口 瞳
退屈夢想庵 平成四年 田村 隆一
作家が見る夢 吉行 淳之介/筒井 康隆/述
吉凶歌占い 野坂 昭如
なぜ正月なんかがあるんだろう 梶山 季之
私の一週間 有吉 佐和子
解放感 藤子 不二雄A
食べる話 後藤 明生
作家生活十一年目の敗退 内田 康夫
罐詰体質について 井上 ひさし
著者校のこと 佐木 隆三
自宅の黙示録 赤瀬川 原平
書斎症候群 浅田 次郎
作家の缶詰 高橋 源一郎
おいしいカン詰めのされ方 泉 麻人
怠け虫 大沢 在昌
締切り忘れてた事件 新井 素子
受賞の五月 吉本 ばなな
肉眼ではね 西 加奈子
自著序跋 川端 康成
編集中記 横光 利一
『「近代文学」創刊のころ』のこと 埴谷 雄高
〆切哲学 上林 暁
手紙 昭和二十七年 扇谷 正造
流感記 梅崎 春生
歪んでしまった魂 胡桃沢 耕史
編集者残酷物語 手塚 治虫
似た者談義 憂世問答 深沢 七郎/色川 武大/述
編集者の狂気について 嵐山 光三郎
〆切の謎をさぐれ! 岡崎 京子
パートナーの条件 阿刀田 高
約束は守らなければなりません 永江 朗
編集者をめぐるいい話 川本 三郎
喧嘩 雑誌編集者の立場 高田 宏
ドストエフスキー『賭博者』解説 原 卓也
植字工悲話 村上 春樹
私の発想法 山田 風太
北国日記 三浦 綾子
なぜ? 山口 瞳
早い方・遅い方 笠井 潔
早くてすみませんが… 吉村 昭
〆切り 北 杜夫
「好色屋西鶴」書き始める 中島 梓
何故、締切にルーズなのか 森 博嗣
のばせばのびる、か 外山 滋比古
勉強意図と締め切りまでの時間的距離感が勉強時間の予測に及ぼす影響 樋口 収
子午線を求めて跋 堀江 敏幸
締切の効用 大澤 真幸<ひとやすみ付録>締切意識度チェックまずは自分の性格を知ろう 
イーヨーのつぼの中 小川 洋子
自由という名の不自由 米原 万里
書かないことの不安、書くことの不幸 金井 美恵子
村の鍛冶屋 車谷 長吉
大長編にも、数行の詩にも共通する文章の原則 轡田 隆史
締め切りと枚数は守れ 池井 優
締め切りまで 谷川 俊太郎
作家の日常 星 新一
明日があるのは若者だけだ。 黒岩 重吾
時間について 池波 正太郎
世は〆切 山本 夏彦 
作者おことわり 柴田 錬三郎
文章読本』発売遅延に就いて 谷崎 潤一郎

いまやっている仕事は〆切がないというか、あるとすればとっくに過ぎてしまっているので、とにかくしゃかりきでやるしかない。せっぱつまった話ばかりかと思いきや、夏目漱石は小説を書くのに苦労やよろこびの浮き沈みがないようなことを淡々とあの調子でいっていて、ちょっとホッとする。血を吐くような思いをして書かれるようなものばかりではね。ま、漱石は胃病で血を吐いてるんだけどね。