土曜は妹の結婚式があった。フクちゃんとフーちゃんを連れてしとしと雨の中を都内へ。桜が散りぎわだった。前夜から熱が出ていたセイちゃんは病院で薬をもらって午後の披露宴に合流した。セイちゃんと福ちゃんのふたりは乾杯の発声という大役を仰せつかっていた。すこし難しいことばなので、紙に書いてもたせてふたり「せーの、せーで」で読んだ。
ごけっこんおめでとうございます。きょうのよきひをしゅくしてかんぱいのおんどをとらせていただきます。みなさまごしょうわください。かんぱい!
ふたりの「せーの、せーで」がなかなか揃わずにやきもきしているところにフクちゃんが間違えて「あー、まちがえたー!!」と大声で言ったのでみんなほっとして大笑いした。いい挨拶になったと思う。この乾杯の挨拶が一番紋切り型だったといっていいような型破りな披露宴で、歳の離れた姉としてはギョッとするのだった。夜はこどもたちはお茶漬けで済まし、なんとなく体調が冴えなかったのでパブロンを飲んで寝た。
- 作者: 深沢七郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1964/08/03
- メディア: 文庫
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「お姥(んば)捨てるか裏山へ 裏じゃ蟹でも這って来る」雪の楢山へ欣然と死に赴く老母おりんを、孝行息子辰平は胸のはりさける思いで背板に乗せて捨てにゆく。残酷であってもそれは貧しい部落の掟なのだ――因習に閉ざされた棄老伝説を、近代的な小説にまで昇華させた「楢山節考」。ほかに「月のアペニン山」「東京のプリンスたち」「白鳥の死」の3編を収める。
月のアペニン山 p7-35
楢山節考 p37-107
東京のプリンスたち p109-190
白鳥の死 p191-208
深沢七郎の軽妙さでなければという凄まじさの中にぽっかりとした悲しさが宿る物語だった。表紙はなんとなく知ったタッチだと思ったら安野光雅で、行く先々に安野光雅と和田誠が待ち受けている。