まみ めも

つむじまがりといわれます

小泉今日子書評集

図書館まで歩く途中に中学校の校舎のわきを通る。金網の向こうに植え込みがあり、薔薇が植わっていたり、おおきな石が据えてあったりする。週末に通ったら、地面にたくさん枇杷が転がっていて、こどもたちがそれを見つけて、金網の下に手を入れて拾っては渡してくれるのだった。朝食の支度をしながら、うっすらと毛のはえた皮をむいて口に放り込んだら、記憶の中の枇杷よりもずっと酸っぱい。枇杷をいれると、あくのせいなのか口の中が少しけばだったようになる。枇杷の実を手に取ったときの、うぶ毛に隔てられたような少し実体のない感触。味覚というより風流に訴えてくる食べ物だと思う。

小泉今日子書評集

小泉今日子書評集

ト。かなりの順番待ちを経てやってきた。

小池真理子「夏の吐息」、沢村貞子「私の浅草」、荒木経惟「愛のバルコニー」…。10年間に小泉今日子が読んでいたおすすめの97冊。2005〜2014年の『読売新聞』書評欄掲載をまとめて単行本化。インタビューも収録。

キョンキョンがどことなく好きなのは、かわいくないかわいさがあって、いつまでたっても歌がうまくならないからだと思う。不安定な音程で必死に歌う姿がたまらない。キョンキョンの書く書評にもひたむきさがあって、なにかをやるときに、うまくやるよりはひたむきにやりたいと思いながら、ひたむきな自分をうっとうしく思う気持ちがあって、ひたむきの才能がないことを思い知る。かといってうまくやる才能もないのだった。ギター侍に残念と斬られたい。