まみ めも

つむじまがりといわれます

青梅雨

週末、フーちゃんを荷台に乗せて自転車で買い出し。あじさいの咲き並ぶ遊歩道で、うたって、とお願いすると、背中でぞうさんを歌ってくれる。
ぞうさん ぞうさん
おはなが ながいのね
そうよ かあさんも
ながいのよ
ぞうさん ぞうさん
だれが すきなの
あのね かあさんが
すきなのよ
歌い終わったあとで、フーちゃんはだれがすき?ときくと、まま、という。ままっておかあちゃんのこと?うれしいなあというと、荷台から両腕を伸ばして腰にぎゅっと抱きついてきた。おかあちゃんのどこがすき?ときくと、まるい、と言われた。たしかにまるい。気持ちがアガって自転車をしゃかりきで嗅いだ。

青梅雨 (新潮文庫)

青梅雨 (新潮文庫)

ト。

一家心中を決意した家族の間に通い合うやさしさを描いた表題作など、人生の断面を彫琢を極めた文章で鮮やかに捉えた珠玉の13編。
狐 p9-38
そばやまで p39-54
枯芝 p55-72
名刺 p73-92
電報 p93-102
私の眼 p103-124
快晴 p125-142
灯 p143-156
蜜柑 p157-170
一個 p171-186
しりとりあそび p187-212
冬の日 p213-238
青梅雨 p239-259

岡崎武志「気がついたらいつも本ばかり読んでいた」で永井龍男の青梅雨のことが書いてあって、なにが書いてあったのかは忘れてしまったけれど、梅雨どきに読もうと思って図書館で借りた。こうやって徒然と読む本のたのしさよ。志賀直哉もそうだけれど、こうとしか描写できないような完成されたかたちで綴られる情景。いやみがないのは才能のなせる技と思う。