フーちゃんのお誕生日プレゼントをなかなか準備できないで、やっと買った。シルバニアファミリーの「はじめてのシルバニアファミリー」というセットで、二階建ての家にベッドやキッチン、ダイニングセットにオムレツのお皿、うさぎがついている。オムレツにはご丁寧にケチャップがかかっている。うさぎが好きなフーちゃんはよろこんで、手のひらにちょうど握れる大きさのうさぎを食卓につれてきておだてると、嫌がっていたポテトサラダも食べてしまえるのだった。寝室にもつれてきて、布団をかけてねんねこの歌をきかせてトントンしてやっている。おかげでフーちゃん自身はなかなか寝ない。それにしてもシルバニアファミリーのいとけなさよ。このようなファンシー性を素直に受けいれられるようになるまでに30年余りが必要だった。
- 作者: 吉行淳之介
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2007/06
- メディア: 文庫
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この春の頃には私よりはるかに元気だった島尾の訃報をきいた。「このまま粘りつづけるしかないな」と語ったのがついこの間のようだ…。井伏鱒二から向田邦子まで、幅広い交遊の記憶の中から素顔の魅力が鮮やかに甦る。
書架でみかけて目次に久生十蘭の名前を見つけて借りてきた。鎌倉の材木座に引越しをした十蘭の新居の掃除をした話やご存知「おい従卒」のエピソードに改めてときめく。そのほかにも、佐藤春夫の「達人とは、ずるいものじゃ」という発言や、百間先生が好物の大手饅頭を食べるときに「気をつけっ、休め」と号令をかけて食べた話、開高健が「アワレな開高です」と電話をよこす話など、こういう箸にも棒にもかからないような話にいちいち引っかかってよろこんでしまった。いちばんよかったのは、露語にならって、島尾敏雄をインキジノフ、庄野潤三をガンコフと呼ばわったというやつで、今後は陰気なやつはインキジノフ、頑固なやつはガンコフに決まり。うちにはガンコフがひとりおる。