まみ めも

つむじまがりといわれます

ぼくの宝物絵本

たしかに昨日よりも2秒夕焼けが遅いようだよ。気持ちに2秒ぶんの余裕がある。
先週の日曜日は、餅つきがあった。せいちゃんとふくちゃんがサッカーをやっているところの団長が畑で丹精している野菜をふるまって、餅をつき、豚汁で炊き出しをやる。わが家は初参加。前日に野菜を受け取り、鍋いっぱいの豚汁を作り、翌朝に持っていく。グラウンドの脇に火の用意があって、大きな寸胴の鍋、それよりもう少し小さいのというふうに四つ、鍋が火にかけられて、各家庭で仕込んだ豚汁がぶち込まれていく。みんなの家の鍋が二十も三十も不揃いに並んでいるのはすごくよい眺めだった。いろんな切り方の野菜、いろんな種類の味噌がごった煮されて、なんだかそれだけでものすごいご馳走の感がある。餅は、ちかくの店から運びこんだものを、形だけうすでついて、丸めてきな粉やあんこをまぶしていく。これまではもち米を蒸して本格的な餅つきをやっていたらしい。あおいビニールシートの上で、みんな家から持ってきたお椀やタッパー、お弁当箱に豚汁や餅をいれてもらい、青空の下で食べた。まさしく小春日和で、日陰の肌寒さにあったかい豚汁がおいしく、おかわりを二回した。
ちなみに、木漏れ日は翻訳できない世界のことばにあって、世界のどこにいってもKOMOREBIだけれども、小春日和にあたることばは世界にあるらしく、北米ではインディアン・サマー、ヨーロッパでは老婦人の夏と言ったりするらしい。日本では春にたとえるのを、世界では夏を持ち出しているけど、やっぱりあの陽だまりは春だよね。

ぼくの宝物絵本 (MOE BOOKS)

ぼくの宝物絵本 (MOE BOOKS)

ト。

絵本の世界は、大人の天国だ。懐かしい絵本や未知の輝きを放つ絵本に出会い、買って買って買いまくると、夢のように楽しい。古今の名作絵本とその魅力を、オールカラーの図版とともに、歌人にしてエッセイの名手が紹介する。

なんとなく違和感をおぼえながら読んでいて、途中で気づいたけど、穂村弘の一人称は「わたし」なので、タイトルの「ぼく」におやっと思ったのだった。この「ぼく」にはカネの匂いがする。いいと思います。そんな「ぼく」はものすごくふつうの言葉でものすごいことをズバリと言うので、やっぱり穂村弘はいいなあ。
「死の未知性は恐怖の源であると同時にときめきの源でもあるに違いない」