まみ めも

つむじまがりといわれます

ポケットに物語を入れて

花粉の本気はどこまでいくのか。サイヤ人になったと思ったらスーパーサイヤ人になり、最終形態はいったいどこなんだろうという果てしない気持ちで、からだがどんよりする。自分のからだは花粉のグレードアップにどこまで対応できるのか不安でしかない。それでもお外は春らんまんで、もくれんが咲き、ミモザが咲き、ぼけが咲き、週末にはうぐいすが法華経の練習をしており、のどかと気だるいの狭間でなんとなく持て余す春の余白。

ト。

本は、開くとき、読んでいるときばかりではなく、選んでいるときからもう、しあわせをくれるのだ。まるで旅みたい-。古典的な名作から現代作品まで、80冊にのぼる本の書評・感想文を収録。

ブコウスキーはポケットに死を入れていたけれど、角田光代は物語を入れる。コートのポケットなら文庫本サイズの物語が入るけれど、スマホに鍵、定期券、ハンカチと死がはいるとポケットは満杯だ。こぼれそうなときには物語はポケットから出て手のうちにいてもらう。死は最後までポケットから出ていくつもりはないらしい。