わたし史上最高の忙しさがやってきており、どれだけこなしても仕事が次々とわいてくる。こなせばこなすほどわけがわからなくなる。帰ってごはんとおふろと寝かしつけを済ませてから、気持ちをおちつけるようにお絵かき帳に一枚分の手紙を書く。できるだけなんでもない暮らしのことを。きれいな色の洋服を着たいというおかあさんに、ユニクロで服を見繕って送った。やさしく明るく、肌ざわりのよさそうな生地を選んで。自分にできることのささやかさにちょっと絶望しながらも、やれることをやっていくしかない。
- 作者: 穂村弘,
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2011/05/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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料理ができず、味音痴で、飲食店にひとりで入れない、菓子パンまみれのぐだぐだとした生活…。歌人・穂村弘の「食べ物」をテーマにした異色エッセイ集。『きょうの料理ビギナーズ』等の連載に加筆修正をして単行本化。
穂村弘が一番だと胸を張っていえるのは、菓子パンを食べた数ぐらい。くるみ蒸しパンやマロン&マロンなら、日本一のペースで食べていた時期があったかもしれない。あるものにハマるととことん食べ続けるくせがあって、いっときは人参ラペのサンドイッチを飽きずに毎日たべていた。いまは花のくちづけを毎日なめている。スジャータといい花のくちづけといい、花言葉に弱いところがある。花のくちづけは、自分の誕生花が出たらすこしおさまりがつくと思うのに、まったく出ない。誕生花とその花言葉を知りたい、グーグルでは知りたくない、花のくちづけで教えてほしい。