嵐の日は、雨がひどくなる前に風の吹く中を帰ってきた。夜のふとんで、雨と風の音、往来をなにかが転がっていく気配が眠りのなかに混じってくる。レム睡眠のないマウスのことを考える。夢をみないマウスは物覚えが悪いけれど生きるのには問題がない由。iPhoneを何度も落っことしていたらひび割れがひろがり少しずつ面が落剥して中身があらわになってきた。いまのところ機能には問題がないらしい。生き物も機械もタフさと脆さの狭間でなんとかやっておるよ。
- 作者: 春日武彦,穂村弘
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2014/09/27
- メディア: 文庫
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他者との不器用な関わり方、地への足の着かなさ加減など、互いによく似ていることを感じとり、友情を結んだ精神科医と歌人が、14の概念について語り合う。世界にいまだなじめないあなたにおくる、微笑と屈託の連続対談集。
うまくやっていない人びとに安心してしまうわが身の頼りなさよ。なじめる予感のしない世界との接点をできうる限り少なくしてひっそりと息づいていたい。