まみ めも

つむじまがりといわれます

怠惰の美徳

体のだるさも手伝ってあまりに自堕落な月曜日を過ごした(起きている時間の80%ベッドとソファの上だった)ので、週明けの仕事をこなす自信がまったくなかったけれども、体調も少しはマシになりなんとかこなせるのだった。朝は一番のりに出社してポット二台にお湯を沸かし、自販機で紙カップのホットココア70円を買ってきてメールチェックをする。ココアはどんなときでもやさしい。胃の具合がよくないのでチョコレートも生クリームもいけないけれど、ココアなら大丈夫。つめたいとぐびぐび飲んであとからしんどくなるので、あつあつをちびちびゆっくりすするのが正解。午後はだんだん辛くなって画面のスクロールで酔ってしまうので早めに切り上げて帰る。日が短くなってきて、早上がりして家につく頃の夕焼けがきれい。

ト。

大学にはほとんど出席せず、志望した新聞社は全滅。やむなく勤めた役所では、毎日ぼんやり過ごして給料を得る…。戦後派を代表する作家が、怠け者のまま如何に生きてきたのかを綴った随筆と、7つの短篇を収録した作品集。
三十二歳 p11-12
己を語る p13-14
怠惰の美徳 p15-17
蝙蝠の姿勢 p18-19
憂鬱な青春 p20-33
終戦のころ p34-44
編集者の頃 p45-49
茸の独白 p50-54
エゴイズムに就て p55-56
世代の傷痕 p57-62
近頃の若い者 p63-72
文学青年について p73-82
私の小説作法 p83-88
人間回復 p89-92
衰頽からの脱出 p93-99
聴診器 p100-105
閑人妄想 p106-110
二塁の曲り角で p111-120
昔の町 p121-122
暴力ぎらい p123-134
烏鷺近況 p135-141
只今横臥中 p142-146
あまり勉強するな p147-148
オリンピックより魚の誘致 p149-154
居は気を移す p155-159
法師蝉に学ぶ p160-162
チョウチンアンコウについて p163-165
アリ地獄 p166-167
寝ぐせ p171-182
猫と蟻と犬 p183-207
寒い日のこと p208-221
一時期 p222-246
飯塚酒場 p247-256
百円紙幣 p257-276
防波堤 p277-297

筋金いりの自堕落、ここまでやるのは根性がいる。飯塚酒場は戦時中に酒を飲ませた店についての記述で、とことんだめな人たちが登場する。だめなところのないやつはだめだ、というのがわたしの主張だけれど、このだめっぷりはなかなかのもので、そこにどうしようもない悲哀と愛着を覚えてしまう。
「先ず器の大きいサカナを注文する。サカナの種類は問わない。器が大きければ大きいほどいいのだ。その器の中のサカナを指でぶら下げ、空いた器の中にどぶろくを注ぎ込む。それをあおるのである。器は盃より大きいから冷え方も早い。だからスピードが上るのだ。それであおって、サカナは指にぶら下げたまま飛び出し、走りながらそれを食べるのだ。」
いまも飯塚酒場があるらしいのだけど、幻のようなその店にいってみたい気がする。