樋口直哉の料理のコラムに惹かれてチョコレートのムースを作った。沸かしたお湯にチョコレートを溶かしこんだときにはぎょっとして半信半疑だったけれど、ちゃんと固まるのがおもしろい。小包みにして、こどもたちが描いた絵を一緒にして、父母に送る。せいちゃんは、(氵)毎の絵と、ジャングルの絵。ふくちゃんは、ピクニック。ふーたんは、がいこくとせんろ。しばらく会わないのでちょっとした気がかりがいつも心の隅にある。
ト。
明治維新から高度経済成長期までの間に生まれた文学作品を通して、東京の100年を追体験するアンソロジー。1は、北村透谷、樋口一葉、泉鏡花、正岡子規、国木田独歩らの作品を収録。
東京銀街小誌(抄) 関 謙之
漫罵 北村 透谷
浅ましの姿 北田 薄氷
医学修業 田沢 稲舟
十三夜 樋口 一葉
大さかずき 川上 眉山
夜行巡査 泉 鏡花
車上所見 正岡 子規
銀座の朝 岡本 綺堂
琴のそら音 夏目 漱石
窮死 国木田 独歩
浅草公園 木下 杢太郎
監獄署の裏 永井 荷風
東京の百年を文学で味わう。時間は景色をあっという間に塗りかえていくけれど、ニューシャトルの窓からみえる朝焼けの富士山の形は変わらないままでいる。変わることも変わらないこともある。すこしずつ歳をとりながら、壊れたおもちゃみたいなヴァンパイア・ウイークエンドを聞いている。