まみ めも

つむじまがりといわれます

おいしいものには理由がある

貧血いよいよきびしくなって、文献を読むと、いかにも典型的な症状を呈している。動悸息切れ、血色の悪さになおらない口角炎、氷がりがりやりたいのまで。こらあかんと、豆乳にミロを溶かし、ほうれん草とキヌアでサラダをこさえ、鉄入りのウエハースを買ってきた。まずい。ほうれん草はやっぱり赤みのある根っこがじんわり甘くおいしくて、そこだけ切り落として料理しながらつまんでみる。

おいしいものには理由がある

おいしいものには理由がある

 

 

ト。

文化、歴史、環境、技術といった様々な要素が混ざり合ってつくられている日本の味。優れた食材とそれを支える人々の物語を通して、日本のおいしさの理由を探る。『ダイヤモンドオンライン』連載に加筆し書籍化。

目次

はじめに

日本のおいしさ 〈卵〉茨城県 魚住農園

第一章 大豆が繋いでいく味
師匠と弟子   〈納豆〉群馬県 下仁田納豆

煙突の味    〈醤油〉群馬県 有田屋
木桶を守る   〈醤油〉小豆島 ヤマロク醤油

第二章 出汁、日本人はどこから来たのか

千三百年前の味を現代に〈塩鰹〉西伊豆 カネサ鰹節商店

日本から世界へ    〈鰹節〉焼津 新丸正

昆布と日本人     〈昆布〉福井県 奥井海生堂

第三章 海と日本人

東北で牡蠣を食べた  〈牡蠣〉宮城県 奥松島水産

また海に出る     〈海苔〉宮城県 アイザワ水産

江戸前の佃煮     〈佃煮〉東京都 遠忠商店

第四章 山と畜産

牛は家族       〈短角牛〉岩手県 柿木畜産

きれいはおいしい   〈鶏肉〉宮崎県 黒岩牧場

白い奇跡       〈牛乳〉岩手県 なかほら牧場

第五章 二つの調味料

日本のウスターソース 〈ウスターソース〉浜松 鳥居食品

マヨネーズのある人生 〈マヨネーズ〉埼玉県 ななくさの郷

終わりに

あとがき

noteの樋口直哉の連載に毎度毎度目から鱗で、ついに本で読むことにした。気軽に読みはじめたらとんでもないことで、もぎ豆腐店のエピソードに宿る武士道精神というのか、大変な人がいたもんだとうちのめされてしまった。おそろしくてここに出てくるものを気軽に味わえる気がしない。ちがいがまったくわからないのではないかと思う、あなたにはその価値がないからと引導を渡されてはかなわない、わたしの舌にまみれず神聖なままでそこにいておくれ。