ふくちゃんの卒園式があった。前の日の晩になってあわててブレザーやネクタイをひっぱり出してきて試着をさせた。ふくちゃん、ど緊張して卒園式の朝はげんきがなくごはんも半分しか食べなかった。髪の毛にワックスもつけてめかしこんだ。桜は六分咲き。ちょっと前にこさえたこめかみの傷がめだって、いろんな人に声をかけられてしまう。前歯が一本抜けて、もう一本もぷらぷらしておる。卒園式のあとは先生を呼んでにぎやかなお昼の会をやり、居残ってパフェを食べ、肌寒い道を手をつないでふーたんのお迎えにいった。いろいろなことが過ぎていく。
ト。
どうしてあんなに素晴らしい作品をつくることができたんですか? 歌人・穂村弘が、谷川俊太郎、萩尾望都、甲本ヒロトなど表現の神様たちと創作について語り合った心躍る対談集。『辞書のほん』連載を加筆修正し再構成。
言葉の土壌に根を下ろす 谷川 俊太郎
謎と悦楽と 宇野 亞喜良
インスピレーションの大海 横尾 忠則
カメラの詩人 荒木 経惟
マンガの女神 萩尾 望都
「神様のものさし」を探す 佐藤 雅彦
創作と自意識 高野 文子
ロックンロールという何か 甲本 ヒロト
不条理とまっとうさ 吉田 戦車
自分で選んだ神さま「あの人」に会いにいくなんて、うらやましい企画。穂村弘って、菓子パンばっかり食べてたり、家に着く前に洋服のボタンをはずしていたり、でも総務課長代理をやってみたり、バランスの傾き具合が絶妙でいつまでも中年のようだけれどもう56歳なんだ。ちょっと信じられない。おっさんのふりした妖精かもしれない。わたしもわたしのあの人に会いにいきたいな。
