まみ めも

つむじまがりといわれます

超短編アンソロジー

連休明け、診察。念のためリトドリンをプラス一週間。安静は解かれ、無茶と遠出はいけないといわれたので、そろりそろりと動く。やることなくて、フランスパンをこねて焼いた。クリームチーズと病院帰りに寄った百円ローソンのやっすいハムをはさんで、グリルで焼いてから、マスタードとマヨネーズをしぼってかぶりつく。身の丈にあったおいしさ。いろいろたのしみがあったはずだけれど、結局、図書館にいって、ケーキを買って、フォークでつついて食べて、自分を慰めている。おなかが重たいのを、湯舟にいるときだけは浮力で少しまぎれる。わたしも、こんなふうに、羊水に浮かんでいたのにな。

超短編アンソロジー (ちくま文庫)

超短編アンソロジー (ちくま文庫)

 

「ブ」で108円。

初の国産「超短編」アンソロジー。数文字から数百文字のミクロの物語、超短編とは、小説、詩、エッセイ、寓話…ジャンルの境界を漂いながら「短さ」によって生命を与えられた作品群の呼び名だ。古典と現代をつなぐ時の線上に超短編をとらえ、ホメロス、キャロル、カフカ宇野千代稲垣足穂村上春樹安部公房川上弘美筒井康隆などの作品95編を集めた。

目次

お話 マザーグースより

I 夢見

夢見るゴキブリ アウグスト・モンテローソ

或る晩のこと 宇野千代

二月 尾形亀之助

夢の門 ホメロス

魂結び 伊勢物語より

塔に昇る夢 高山寺明恵上人行状より

夢ノの鹿日本書紀より

イソポ、二人の侍、夢物語のこと 伊曾保物語より

飛ぶ男 本間祐

夢を買うた男 日本昔話より

II ノンセンスの微笑

春 安西冬衛

黒猫のしっぽを切った話 稲垣足穂

ボートを漕ぐ不思議なおばさん 辻柾夫

自転する男 岡崎弘明

アレクサンドロス大王 フランツ・カフカ

小説 A・ビアス

南泉、猫を斬る 無門関より

疱瘡を患った子を化け物と思った事 御伽物語より

雨乞ひに乙女を人身御供 明治の朝日新聞より

梅法師 一休

主君が宗旨を尋ねた事 浮世物語より

強情者だよビエッラの人は イタリア民話より

蛙の雨 ヘーベル

眼鏡 ユダヤ笑話より

目を覚まして眠っていた百姓のこと イェルク・ヴィクラム

病気見舞い 日本昔話より

どっこいしょ 日本昔話より

定期券 桂枝雀

ふた首穴のセーター 江坂遊

足 マザーグースより(北原白秋訳)

代名詞の迷宮 ルイス・キャロル

路上の偽騎士 イギリス物語歌より

ちよつとした奇蹟 竹中郁

牛乳 村上春樹

夏は夜 高階杞一

III 愛してる愛してない

離魂病 狂歌百物語より(小泉八雲英訳)

母恋餓鬼 寺山修司

妖精の子供 サミュエル・ラヴォー

蝶 ルナール

弟子 オスカー・ワイルド

王威 アルチュール・ランボー

梨の花の揺れた時 吉行理恵

小オキキリムイが自ら歌った謡「クツニサ クトンクトン」アイヌ民謡より

蚊 シベリア民話より

おめでとう 川上弘美

紀元節 夏目漱石

第十七夜 アンデルセン

IV この世界

万物創造 マヤの神話より

果ての国 列子

十二月三十日、日曜日 ラス・カサス神父

風ーー大地をめぐる、空気の運動。 プラトン

海 千田光

そのものの名を呼ばぬことに関する記述 谷川俊太郎

みかんの中の楽しさーー巴きょう人 牛僧孺

幸福 辻まこと

フジヤマ アルフレッド・ジャリ

左と右 安野光雅

地上楽園 芥川龍之介

どこへでも此の世の外へ ボードレール

造船所のイソップ

小さな寓話 カフカ

離陸 田木繁

声 W・B・イエイツ

すっぽんの鳴き声 寺田寅彦

生命に就て 稲垣足穂

V 生き物たち

けんか きたやまようこ

鷄鳴 内田百間

死なない蛸 萩原朔太郎

河童 柳田國男

大道芸術女砂文字の死 篠田鉱造

おまつり 本間祐

狼と小羊 ラ・フォンテーヌ

ピュタゴラス ディオゲネス・ラエルティオス

黄帝 列仙伝より

大気都比売神 古事記より

絵師 逸名

曹操 世話新語より

蛇にとつげる女を医師がなおした話 今昔物語より

蛇 ルナール

猟師 クルイロフ

黄色い詩人 谷川俊太郎

ある男と無花果 小川未明

【あずまおとこときょうおんな】別役実

ち、畜生のかなしさ。 太宰治

樹 入沢康夫

変身 寺山修司

人間は野獣よりもっと悪い スウェーデンボルグ

大正七年正月七日 永井荷風

九月十四日 曇 正岡子規

剥製の白鳥 芥川龍之介

頭がない 尾形亀之助

トゥルーデおばさん グリム童話より

二人の浮浪者の話 安部公房
天狗の落とし文 筒井康隆

「蛇」「死なない蛸」よかった。死なない蛸はレオポール・ショヴォの年をとった鰐に似たかなしみ。こんなふうにかたちを失えたら、ちょっとスッキリするかもしれない。