ふくちゃんが浦和レッズのフラッグキッズに当選して、予定日まであと九日の出っ腹を抱えてそわそわと埼スタにいってきた。キックオフぎりぎりにスタジアムに飛び込み、がちがちに緊張したピッチ上の豆つぶみたいなふくちゃんにおーいと手を振った。レインボーのかき氷のシロップがあっという間に溶けて混ざってどどめ色の液体になる暑さ、試合もパッとしなかったけれど、スタジアムの空気感に気分はもりあがった。試合のあと、なまぬるい夕風にほっとする。
ト。
読書家にして麻雀にも造詣の深い宮内悠介が、人気作家たちに「お願い」して誕生した、「博奕」モチーフのアンソロジー。山田正紀「開城賭博」、軒上泊「人間ごっこ」など全10編を収録。『小説宝石』掲載を単行本化。
獅子の町の夜 梓崎 優
人生ってガチャみたいっすね 桜庭 一樹
開城賭博 山田 正紀
杭に縛られて 宮内 悠介
小相撲 星野 智幸
それなんこ? 藤井 太洋
レオノーラの卵 日高 トモキチ
人間ごっこ 軒上 泊
負けた馬がみな貰う 法月 綸太郎
浮き沈みが苦手なので、博奕でもりあがったりもりさがったり、ということに思いを巡らせるだけでおなかいっぱいになってしまい、ドリームジャンボも買う気にならない。形だけで知っていた文字を、うぶかたとう、と読めるようになってしまったことがちょっとつまらない。