まみ めも

つむじまがりといわれます

世界の果ての国へ

家から最寄りの産院は、微妙かつやや過剰なセレブ感を醸しており、コンシェルジュのサービスがあってハーブティーを出してくれたり、入院する部屋も星だの宇宙だのコンセプトがあったり、お産のときにはモニターにタイミングにあわせてCongratulationsとメッセージが出たりする。ひとが一世一代レベルの必死こいてるこの状況でだれがこのメッセージのタイミングを操っているのかと思うけれどもわからずじまいだった。食事のメニューも凝っており、内容はもとより、美肌deアンチエイジングmenu、疲労回復BITEKIメニューなどと銘打たれた膳だったりして、ちょっとたじろぐ。祝膳でも、チーズケーキがハートの形にくり抜かれ天使の羽がささっていて、乙女仕様ぶりにおもわず笑ってしまった。産後のぼろぼろよれよれになった体との温度差よ。鏡にうつったすっぴんの顔は寝不足と疲れでむくれて、とても美肌とかアンチエイジングとか言ってる場合ではない。ともかく、ばびとのふたりきりの三晩をすごし、きょうで退院。

世界の果ての国へ (安房直子コレクション)

世界の果ての国へ (安房直子コレクション)

 

ト。

 鶴の家
日暮れの海の物語
長い灰色のスカート
木の葉の魚
奥さまの耳飾り
野の音
青い糸
火影の夢
野の果ての国
銀のくじゃく
シャガールの絵の中の鳥
言葉と私

入院の支度のなかには安房直子をいれておいた。お産の日はひとりきりで、ベッドに横になり、でも、気持ちがたかぶって眠れないので、世界の果てに連れてってもらう。お話の登場人物たちは遠くへいってしまった、わたしも眠りの世界にいって、つぎの朝は、ベッドで目が覚めた。世界の果てにはいってないっぽい。とりあえずこの世界でやっていく。おはよう、ばび。