まみ めも

つむじまがりといわれます

まどろむ夜のUFO

いろいろなことに算段をつけないままあわてて新幹線に乗ったので、いつまでもいられず金曜にうちに戻った。木曜、病室にお兄ちゃんも来て、久しぶりに家族がそろった。家族でおとうさんの葬式の話をする。おとうさんは金曜に気管切開の手術を受けた。まぶたを閉じることもできず、眼帯をはって目薬と軟膏をつけている。耳も遠く、かろうじて見えるらしい右目のまえで手を振ってみせると、眼球をふるわせてなんとなく反応がわかる。脈がはやく血圧は低い。それでもタルセバを使う。台所のシンクの脇に庭の柿があって、冷蔵庫に柚子をみつけたので柿柚子をつくった。あたらしい台所では砂糖がみつけられなくてクマノミズキのはちみつで和えた。一日おいて朝ごはんに食べる。クマノミズキのくせのあるにおいと柚子の苦味。おとうさんとときどき口に出して呼ぶ。あんまりナイーブにはなりたくない。

まどろむ夜のUFO

まどろむ夜のUFO

 

ト。

「魂のコミューンみたいのがあるんだよ」異次元の世界に魅かれる若人たちの幸福なコミューンを描く、新鋭女性作家による中篇小説集。表題作のほか「もう一つの扉」「ギャングの夜」を収録。
まどろむ夜のUFO p7-110
もう一つの扉 p111-186
ギャングの夜 p187-211 

本にも没頭できないけれど、読むことで自分をごまかすというか、慰めているところがある。