まみ めも

つむじまがりといわれます

たやすみなさい

週明けにせいちゃんにインフルエンザの診断がくだり、 高熱でふらふらでひとりで寝るのを不安がるので、ベッドの傍に布団を敷いて寝たけれども、なんだか自分も咳が出るなと思ったらその咳が関節にやたらみしみし響き、床が固くて関節が痛むのかと思いきや枕元の体温計で熱を測ったら37度で、あわてて階下におりてセイちゃんに処方されたリレンザを吸った。スポドリを水筒につくって枕元に持ち込み吸う。翌日の丸一日をソファで厚い毛布にくるまりながら、せいちゃんとげんちゃんとうとうとしながら熱は37度と38度をいったりきたりするのをやり過ごし、なんとか次の朝には痛みが取れて峠を越した。暇つぶしに、M-1グランプリを2年分、ジュラシック・ワールドGODZILLA宇宙戦争をみて過ごす。小3男子はハリウッド映画の展開のすべてにちゃちゃを入れてきてうるさいのだけれど、びびってひっついてきて、びくびくしてるのがかわいかったりもする。胃にくるインフルエンザなのか、せいちゃんはすっかり痩せ細り、シュークリームを半分も食べられない。ふたりでフレンチトーストを焼いてクレイマー、クレイマーしたけれど、やっぱり残した。いけなかった忘年会をふたりでやろうといって、はま寿司で握り寿司をつくってもらい、ケーキとプリンを買って、お寿司をつまんでいたらげんちゃんのおでこが熱くなって、あわてて診療している小児科をさがし、小雨の降るなかを自転車をとばしていく。87歳のおじいちゃん先生が受付からなにからひとりでやっており、震える手で診察をし処方箋を書いてくれた。話好きな先生で、待合室にあるベビーベッドはどこそこの医大をでてどこぞの院長をやっている息子が50年前に使ったものだという話に始まり、娘の名前はおばあちゃんふたりから一文字ずつとったことや、林修が東大生にはキラキラネームがいないといっていた話まで、話の合間に処方箋を書いているその手は震えている。タミフ、で、なかなかルを書いてくれない。もどかしいような、しかしちょっとおもしろがってしまう。なにより待合室の壁紙がとてもかわいいうさぎ柄だった。達筆のタミフルの処方箋をキリン堂薬局にだして、やたら待たされてタミフルドライシロップ2日分を受け取り、帰宅して真っ先に飲ませたけれど、ぐんぐん熱が上がって39度をこえ、ぐずっておっぱいを吸ってうとうとしている。体の芯は熱いのに手足は冷たくて、亡くなる前のおとうさんを思い出してしまう。

たやすみなさい (現代歌人シリーズ27)

たやすみなさい (現代歌人シリーズ27)

  • 作者:岡野大嗣
  • 出版社/メーカー: 書肆侃侃房
  • 発売日: 2019/10/13
  • メディア: 単行本
 

ト。

もう一軒寄りたい本屋さんがあってちょっと歩くんやけどいいかな なにげない日常に潜む奇跡を、琥珀の中に永遠に閉じ込めてしまうような作品の数々。ポップスのように、映画のように、アクチュアルな歌集。

 バグのように人生に訪れるささやかな奇跡を掬い上げてくれる短歌。わたしに見えなかったものを見えるようにしてくれる。透きとおった光に触れるみたい。