まみ めも

つむじまがりといわれます

霧中の読書

またひとつ歳をとった。おなじ誕生日に村上春樹と木下龍也。村上春樹は71歳、木下龍也は32歳、こちらは40歳。村上春樹と木下龍也に挟まれるのは、悪くない感じ。お父さんは誕生日の前に死んだので、これからひとつずつ、お父さんの歳に近づいていくのだなと考える。誕生日の朝は、こどもたちがベッドに潜り込んできて、四人に囲まれてしばらくだらだらとお喋り。下におりると、せっせとパンケーキを焼いているところで、焦げたパンケーキのおそ朝。小麦粉を、強力粉と薄力粉で迷ったというけれど、二択は間違えていなかった。夜はお友だちのお宅に呼んでもらい、ご馳走になった。プレゼントはガーゼのパジャマを買ってもらった。

霧中の読書

霧中の読書

 

ト。

書物について書くことは、霧の中にいるようなものだ。「風景の時間」「川上未映子の詩」「西鶴の奇談」など、荒川洋治が2016〜2019年に発表したエッセイから45編を選び、書き下ろし1編を加えて単行本化。

荒川洋治のまっさらな感受性を通してときにきびしく、ときにきらきらと本について読んでいると、どんどん読みたい本が出てくる。読んだ本も読み直したくなる。色川武大サローヤン井原西鶴漢字の閉じ開き、〜のだ、という言葉づかい、主語のない文章が荒川洋治していてうれしい。一人称は平仮名でぼく。ずっとぼくでいてほしい。