まみ めも

つむじまがりといわれます

掃除婦のための手引き書

水曜にふくちゃんが腹痛で休んで、午後ロードをふたりで見た。ランダウンという映画で、冒頭、主人公がカーラジオを聴きながら

PORCINI

MAS

とメモを取っているところで仕事の呼び出しをくらう(借金の取り立てをしている屈強な男は、いつか自分のレストランを持つことを夢見ている)。そのあとクラブシーンにシュワちゃんがちらっと出てきておっとなる。クリストファー・ウォーケンが悪の総元締めという役どころで車は崖からおっこちるし、ジャングルでゲリラの罠にひっかかるし、怒涛のドタバタ劇が展開する安心して見ていられるB級映画だった。ところでポルチーニというものがさっぱりつかまえられない。クノールのスープパスタをすすってみても、ポルチーニの風味がどこにあるのか、曖昧な気持ちになる。同じことがトリュフにもあって、プレミアムベビーチーズのトリュフ入りも、微妙な気持ちを味わってしまう。味の素の松茸の味お吸いものはわかるのに…(松茸は入っていないけど)。本物をちゃんと知らないことがいけないのかもしれない、いつか彼岸にいけると信じたい。

川沿いの桜の枝の先に、マニュキアのようにぽっちりと赤い色が点々と灯っていて、あわてて近くの木蓮を偵察にいったけれどまだ咲いていなかった。ほっとする。

掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集

掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集

 

ト。

 多くの作家に影響を与えながらも、生前は一部にその名を知られるのみだったルシア・ベルリン。逝去から10年を経て出版され、ベストセラーとなった短篇集から、24篇をよりすぐって収録する。

エンジェル・コインランドリー店 p9-18
ドクターH.A.モイニハン p19-30
星と聖人 p31-44
掃除婦のための手引き書 p45-64
わたしの騎手 p65-67
最初のデトックス p69-75
ファントム・ペイン p77-88
今を楽しめ p89-96
いいと悪い p97-114
どうにもならない p115-120
エルパソの電気自動車 p121-126
セックス・アピール p127-135
ティーンエイジ・パンク p137-140
ステップ p141-145
バラ色の人生 p147-156
マカダム p157-159
喪の仕事 p161-170
苦しみの殿堂 p171-186
ソー・ロング p187-200
ママ p201-212
沈黙 p213-234
さあ土曜日だ p235-255
あとちょっとだけ p257-269
巣に帰る p271-289

読むことの快楽と痛みが同時にある、とあとがきにある通り、痛みを伴う話を、気持ちよく描く。小説の内容は、知っている人の言葉だなあと思う。 痛いところをどんどん針で突かれるのだけれど、そこから流れる自分のまっくろな血を見るよろこび。