母の日、こどもたちが校庭や家のそばで草花をそれぞれに摘んで、プレゼントしてくれた。夕飯のあとで、目をつむってて、といわれて、首すじをかさかさする草でくすぐられながら待たされ、目をあいたら、ひなげしやハルジオン、花束にしたのや、葉っぱの上に飾ったのや、ずらっと並んでた。夕方から玄関においてあったので、萎びていたけれど、コップに水をいれて挿しておいたら、すこしぴんとした。目をつむっているときに懐かしいにおいだと思ったのはキク科のハルジオンだった。
週明け、さっそく蚊に刺されて、もう初夏という季節はないのかもしれない。朝晩の空気がまだ涼しくてありがたい。ビールを毎晩飲んでしまいそうになる。公園でつかまえてきたおたまじゃくし、残り一匹、脚がはえて、腕がはえた。
本棚から。
著者が傑作50編を自選。SF作家・星新一の入門書。
バーで人気の美人店員「ボッコちゃん」。彼女には、大きな秘密があった……。スマートなユーモア、ユニークな着想、シャープな諷刺にあふれ、光り輝く小宇宙群!
表題作品をはじめ「おーい でてこーい」「殺し屋ですのよ」「月の光」「暑さ」「不眠症」「ねらわれた星」「冬の蝶」「鏡」「親善キッス」「マネー・エイジ」「ゆきとどいた生活」「よごれている本」など、とても楽しく、ちょっぴりスリリングな自選50編。目次
悪魔
ボッコちゃん
おーい でてこーい
殺し屋ですのよ
来訪者
変な薬
月の光
包囲
ツキ計画
暑さ
約束
猫と鼠
不眠症
生活維持省
悲しむべきこと
年賀の客
ねらわれた星
冬の蝶
デラックスな金庫
鏡
誘拐
親善キッス
マネー・エイジ
雄大な計画
人類愛
ゆきとどいた生活
闇の眼
気前のいい家
追い越し
妖精
波状攻撃
ある研究
プレゼント
肩の上の秘書
被害
なぞめいた女
キツツキ計画
診断
意気投合
程度の問題
愛用の時計
特許の品
おみやげ
欲望の城
盗んだ書類
よごれている本
白い記憶
冬きたりなば
なぞの青年
最後の地球人
あとがき 星 新一
解説 筒井康隆
カット 真鍋 博
なんていい匙加減のユーモア。