まみ めも

つむじまがりといわれます

二度寝とは、遠くにありて思うもの

夏至を迎えると、暑さはこれからだというのになんだかさみしい気持ちになってしまう。枇杷はいまが食べごろらしく、遊歩道の枇杷の実にからすとむくどりとおながが集まって騒いでいる。遊歩道の枇杷は、二階のバルコニーから届く範囲の実を高枝切り鋏で切り落とされてしまった。からす対策なのだろうけれど、オレンジの実がアスファルトで潰れているのを見るともやもやする。八百屋で白うりが二本で100円だったので、夜、皮を剥いてうすぎりにして、塩をふって冷蔵庫にしまう。ひと晩たったのを、ぎゅううううううっとしぼって、マヨネーズで和え、黒胡椒を振って、サンドイッチにする。池波正太郎に思い入れはないけれど、しゃくしゃくとしたサンドイッチを飲み込むと、初夏を正しく迎えられたような気がしてほっとする。
ト。

あの『やりたいことは二度寝だけ』がパワーアップしてかえってきた!布団に感謝して話しかけたり、落ち込んだら編み物に没頭したり、「女子会」「いい歳」「打明け話」など、“言葉”について考えたり、「一人ごはん」や「無縁死」について考察したり……どこにいても知らない人に道をきかれるという自称「気安い顔」の庶民派、芥川賞作家が綴る、味わい深くてグッとくる大人気日常エッセイ集第二弾。


大人気エッセイ、『やりたいことは二度寝だけ』がパワーアップしてかえってきた!
もっと笑えて泣ける、日常エッセイ集第二弾!
布団に感謝して話しかけたり、落ち込んだら編み物に没頭してみたり、「女子会」「いい歳」「打明け話」など、“言葉”について考えたり、「一人ごはん」や「無縁死」について考察したり……どこにいてもすぐ知らない人に道をきかれるという自称「気安い顔」の庶民派、芥川賞作家が綴る、味わい深くてグッとくる日々のエッセイ集第二弾。


1 となりの乗客の生活

2 現代のことばについて考える

3 溺れる乗客は藁をもつかむ

4 素人展覧会(第一期)

5 ソチとブラジル、その鑑賞と苦悩

二度寝なんてこの世にあるのだろうかと思うぐらい朝は容赦なくやってくる。そのうえ冬からドライアイがひどくて、朝はまぶたを開く前からひとみの渇きを感じている。眼科では四種類計十六回の点眼薬を処方されている。うまれたときに瞳がうるうるしていたのでさんずいの名前にしたげんちゃんは、やっぱり分泌がよいらしく、まばたきもほとんどしない。ともすると秒で涙があふれるのを、うらやましく見ている。