家の門を開けた先の遊歩道に実っているのがいちじくだと知ったのは一年前で、道理で花が咲かないから、なかなか実には気がつかなかった。今年は虎視眈々と熟れどきをみはからう。明るい黄緑の色にえんじが少しずつ混じってきて、そういう実をひねるとぽろっと枝からとれる。外れたところから白いべたっとした樹液がでるのをごまかしながら台所においておく。包丁で半分に割った内部はなんだかものすごいことになっておる。たべたときも、おいしさより複雑さがくるのでなんだか神妙になる。
日曜日の朝からふーたんの体にぶつぶつが出て、ぼりぼり掻いて、そのうち全身に広がってしまった。機嫌がわるい。だいぶ治まってきたけれど念のため病院に連れていく。蕁麻疹か夏のウイルスだろうとのこと。みていると自分までむずむずしてくる。会社に出るつもりで用意した水筒のカフェオレをぐびぐび飲む。商店街の薬局でヤクルトを一本、サトちゃんとサトコちゃんに乗った。
ト。
居場所がない大型犬の苦痛、猫たちの住む茶室・物置の痛みによる倒壊の懸念…。これらの解消のための自宅改造が悲劇の始まりだった。犬と猫と暮らす作家が、リフォームをめぐる実態・実情を呆れるほど克明に描く。
タイトルだけで笑ってしまって図書館で予約。通勤の途上で読むとマスクの下でぬふぬふ笑いをこらえられない。マスクがあってよかった。眉毛を描くだけで会社にいけるのもマスクのおかげ。