まみ めも

つむじまがりといわれます

終わりと始まり

木曜の朝におばちゃんの訃報。おとうさんと同じ病気でしばらく前から闘病していて、さいごは家に帰って家族と一緒に過ごしたらしい。家のそばでオレンジ色のコスモスが風に揺れていて、おばちゃんのことを思い出す。すらりと背が高くて、ジーンズがよく似合い、いつも穏やかにほほえんでいた。どこかの国の人の家でメイドのアルバイトをしながら外語大を出て、翻訳の仕事をしたりして、昔、カップにミルクを注いでもらうときに、Say when.ときれいな発音でいわれたことを覚えている。咄嗟のことで十代のいなかの高校生はなにも答えられなかった。まだだったよ、おばちゃん。弔電の文章を考えながら、電車の中でめそめそしてしまった。

終わりと始まり (朝日文庫)

終わりと始まり (朝日文庫)

  • 作者:池澤夏樹
  • 発売日: 2015/07/07
  • メディア: 文庫
 

ト。

< 目次 >
イラク戦争の後始末
言葉の生活感
空中の視点とエコロジー
多文化の実現とウレシパ
三千人のダンサー
上から降る言葉
デジタル化で失ったもの
普天間移転問題の打開案
勝利の快感と天才の誘惑
性格とキャラ立ち
イサム・ノグチの事績
老いと終末論
水俣と沖縄の長い夜
地図の原理と頭上の
「最小不幸」の原理
多神教エコロジー
「鉱夫」はどこに行ったか
死んだ子供たちのために
国のサイズと世界の安定
歌わない自由
ケータイと街路樹革命
春を恨んだりしない
a×bについて再考する
風と太陽、波と潮と地熱
政争でなく政策を
原始的な恐怖の心理
宇宙誌と霊の世界
間違いだらけの電力選び
遠い人々と身近な問題
幸福なギリシャ
子供を産ませない社会
不安を抱いていきる
ピナ・バウシュによる育成
原発が停止する日
琉球王国縄文文化
水俣病に「解決」はない
東北の被災者
幸福の島の未来
復旧と復興の違い
人的埋蔵資源
言葉の問題いろいろ
「思い」と「考え」の間で
沖縄、根拠なき負担
気分はもう戦争
解説・田中優子
発売日:2015/7/7
出版社:朝日新聞出版

発売日がちょうどふみのお誕生日。終わりと始まりが連綿と続いていくことが希望でありますように。