まみ めも

つむじまがりといわれます

中年の本棚

おとうさんの命日だった。春夏秋冬の一年が過ぎることに怯えていたわりには、慌ただしい日常で昼過ぎまで命日のことを思いださずにいた。思い出にびびって、柿柚子も作らずにいる。クマノミズキのはちみつも、ずっと蓋をしたままになっている。前に、親戚のおばさんが、亡くなった自分の父親のために生前買ったバナナを、真っ黒になっても捨てられずそのまま冷凍庫に入れっぱなしにしてあると言っていて、ホラーだと思ったけれど、自分もホラーへの第一歩を確実に踏み出している。

げんちゃんが急によちよち歩きをはじめて、怖いもの知らずで食卓にあがったりする。夕飯の支度をしながら、食卓からおろして、抵抗するのを離れたところにおろすのだけれど、よちよち歩きのくせにまっしぐらに最短ルートで食卓にあがるので、二分おきくらいに食卓からおろす羽目になり、ほんとうに目が離せない。ほかの子を注意したときになんにもわかってないくせにハイ!と威勢よく返事したりする。

中年の本棚

中年の本棚

 

ト。

気力・体力の衰え、老いの徴候、残り時間…。人は誰でも初めて中年になる。この先、いったい何ができるのか。“中年の大先輩”と“新中年”に教えを乞う読書エッセイ。『scripta』連載に書き下ろしを加え書籍化。

「四十初惑」考/時をかける中年/サブカル中年の話/上機嫌な中年になるには/「真贋」を見分ける/「林住期」の読書/日曜○○家/プロ棋士の“四十歳本”/仕事をやめたくなるとき/「フォーティーズ・クライシス」の研究/「青春崇拝」と年相応/「ガンダム世代」、中年になる/水木しげる、長寿と幸福の秘訣/「中年シングル」の課題/それぞれのかたち/『赤グリ』と『青グリ』/中年の文学/“世の中とうまくやってけないけどなんとか生きてる”先輩/文学中年の課題/尾崎一雄の「小さな部屋」/「下流中年」の生きる道/中年フリーランスの壁/色川武大、「心臓破り」の五十路/“新中年”に学ぶ/「中年男」のライフ・コース/「輝く中年」の孤独/さらされるバブル世代/「昨日できなかったことが今日できるようになる」/橋本治、明日の中年のために

毎回、名前の読みを確認してしまう。オギハラが正解。