家族だけで家で年末年始を過ごすのははじめてのことで、すっかり気が緩んでみんなしてねぼすけの寝正月を満喫した。年の瀬に鎌倉からおせちの材料をあれこれ送ってもらい、雀の絵付けのお皿に紅白のかまぼこ、伊達巻に昆布巻き、栗きんとんや黒豆やかずのこを並べてそれらしくした。お雑煮だけは用意した。母のお雑煮はするめいかの出汁だったけれど、用意がないので、うどん出汁のようなものを作って餅を浮かべる。柚子の皮と三つ葉とあさつき、お土産でもらった金箔をのせた。シンプルな雑煮が一番うまいと思うけれど、たしかに雑煮の雑の部分はまったくない。
ついたちは近くのイオンに出かけたらバスタオルが廉売で、五枚も買って帰った。バスタオルを漁っていたら知り合いのお母さんに声をかけられ、ふたりしてタオルをあさりながら新年の挨拶をする。中年が板についてきた感じのエピソードでいい一年のスタートだと思う。
ト。
「女には無理」と断られた照明係の仕事を、重いコードを毎日百回引きずって獲得したパンクな舞台美術家と作家の交流を描く「ヒナギクのお茶の場合」など、言葉とユーモアで境を超える全米図書賞作家の傑作9篇を収録。
ヒナギクのお茶の場合
枕木 p9-33
雲を拾う女 p34-85
ヒナギクのお茶の場合 p86-119
目星の花ちろめいて p120-134
所有者のパスワード p135-151
海に落とした名前
時差 p155-188
U.S.+S.R.極東欧のサウナ p189-225
土木計画 p226-241
海に落とした名前 p242-311
海に落とした名前、よかった。たしかにここ一週間の自分を雄弁に語るのはレシートの束かも、きょうは古いレシートを捨ててきたのでまっさらなわたし。