土曜日でげんちゃんは二歳になった。好物がなんなのかよくわからないので、チキンカレーを煮てナンを焼く。ケーキはキャラメルクリームにバナナを混ぜたビスケットケーキ。ビスケットを三枚ならべて、真ん中のビスケットにいちごジャムを塗り、チョコレートで眉毛と目と口を描いてアンパンマンの顔にした。プレゼントはメロディおさんぽアンパンマン。おもちゃ売り場に連れて行ったら興奮してしまい選ぶどころではなかったので適当なやつを選んで買った。カレーのあとでケーキにろうそくを立ててハッピーバースデーをみんなで歌い、お誕生日プレゼントを渡した。なんさいになったの?ときくと、にさい!!と元気よく答える。二歳がなんのことかはわかっていないだろう。後ろ髪だけがのびていよいよ「おねい」している。
ト。
「秘密の花園」「赤毛のアン」など児童文学の名作を読み解き、いぬいとみこ、石井桃子ら先人たちの仕事の核心に迫る。物語の名手による初の児童文学エッセイ集。鶴見俊輔、別役実との座談会も収録。
座談会の鶴見俊輔も別役実も鬼籍に入り、のこった梨木香歩が「人は亡くなっても気配はなくならない」と述懐している。西の魔女が死んだ、はそういうお話だった。いろんな人が亡くなり、立ち込める気配に包まれる。