まみ めも

つむじまがりといわれます

貝がらと海の音

節分の夜は恵方巻き。前々日に人参と干し椎茸を甘辛く煮ておき、前日にたまご焼きを作っておく。当日は先に帰ったセイちゃんにごはんを炊いておいてもらい、炊き立てのごはんで酢飯をつくり、たまご焼きときゅうりを細長く切って、鮪のたたきと煮物とあわせて海苔で巻いた。一昨日からの時間がまとめて巻かれている。ようやく具が真ん中にくるようになってコツがわかってきたと思ったらもう巻くものがなかった。ぼんやりしていて恵方を間違えてしまい、食べ終えたあとで気がついた。

日が長くなり、夕方に最寄りの駅のロータリーに出ると、公園のむこうの西の空に夕暮れが残っていて切り絵のように木立が見える。その上に切り落とした爪のような痩せた月が浮いている。春に向かうこの季節がいちばん好きかもしれない。

ブ。110円。

郊外に居を構え、孫の成長を喜び、子供達一家と共に四季折々の暦を楽しむ。友人の娘が出演する芝居に出かけ、買い物帰りの隣人に声をかける―。家族がはらむ脆さ、危うさを見据えることから文学の世界に入った著者は、一家の暖かな日々の移りゆく情景を描くことを生涯の仕事と思い定め、金婚式を迎える夫婦の暮らしを日録風に、平易に綴っていく。しみじみとした共感を呼ぶ長編。

庄野潤三はどの本を読んでどの本が手元にあるのか把握していないけれど、見つけたらとりあえず買っておく。ダブったら誰かにあげればいいやと思っているし、なんならうちに何冊かあってもいい。なんでもないような短い文に澄んだ響きがあって、たまらない。