まみ めも

つむじまがりといわれます

羆嵐

水害のニュースでよく知る風景が様変わりしてうつっていた。お母さんは、仕事に出ている山のほうで身動きがとれなくなり一時避難所に行っていたけれど、無事に帰宅し、家は大丈夫だった。いろんなふるい友人の顔が浮かぶ。みんな無事でいてほしいけれど確かめる手立てがない。

旅行や帰省を間近にひかえた今になってげんちゃんが高熱をだし、小児科にいく。抗原検査は陰性で、夏風邪とのこと。どこにもいけない夏になっても仕方ないとどこかで諦めている。百日紅が花を次々に落としながらいつまでも咲いていて、だけど夏には必ず終わりがある。

古本いちで110円。吉村昭をみると買ってしまう。

北海道天塩山麓の開拓村を突然恐怖の渦に巻込んだ一頭の羆の出現!日本獣害史上最大の惨事は大正4年12月に起った。冬眠の時期を逸した羆が、わずか2日間に6人の男女を殺害したのである。鮮血に染まる雪、羆を潜める闇、人骨を齧る不気味な音…。自然の猛威の前で、なす術のない人間たちと、ただ一人沈着に羆と対決する老練な猟師の姿を浮彫りにする、ドキュメンタリー長編。

三毛別羆事件のことはWikipediaで知っていたけれど、さすがは吉村昭で、ぐいぐい読ませる。やっぱり酷暑に吉村昭はすごく合う。だらだら汗を流しながら陰惨な物語を味わうとき、のめりこむ自分を眺めている客体がふと浮かび上がる。