まみ めも

つむじまがりといわれます

クララとお日さま

おととい、実家の犬が死んだ。暮れのころから、ちょっと様子がおかしいとお母さんが言っていて、散歩にいくとどこまでも歩いてみたり、そのくせ次の日はぐったりと一歩も動かなかったりしていた。寿命だったのだろう。てんかん持ちで発作が出たので薬をすこし飲ませ、のどが渇くはずなのに最後は水を飲むのも億劫になって、看取られたらしい。むかし飼っていた犬に似たツートンカラーの顔が懐かしくて、セイちゃんがうまれたころ、お母さんが獣医さんから譲り受けてきた。うちに来た三番目の犬だし、セイちゃんの名前の三ともかけて、サンという名前をつけた。それからお父さんが病気になり、いなくなってからも、家族として寄り添ってくれた。お母さんはずいぶんと寂しいだろう。寂しいということはそれだけ与えてくれたということだ。

ここにいるあたたかい犬 もういない犬 いないけどいつづける犬/岡本真帆

ト。

人工知能を搭載したロボットのクララは、病弱の少女ジョジーと出会い、やがて2人は友情を育んでいく。愛とは? 知性とは? 家族とは? 生きることの意味を問う感動作。

そういえば、サンとはお日さまのことだった。きのうはひこうき雲日和であったらしく、お迎えのとき、東から西へ、何本も長い長いひこうき雲がのびていた。夕焼けに吸い込まれていくようなひこうき雲に、あの先にサンがいるのだなという気がした。遠いようで、遠くない。