一年で一番おそい日の入りがやってきた。暑さは募りつつ、夕暮れが早くなっていくのに合わせてさみしさが蓄積していく。実家から氷室饅頭が冷凍のヤマト便で届いた。冷凍というのが氷室饅頭っぽい。お殿様にヤマト便で氷をおくったら怒られちゃうのかな。こし餡のなかにうっすらと栗餡がはさまっている。今年はむらなか菓子舗のもの。お母さん、毎年氷室饅頭を忘れずにおくってくれて、ありがたい。ふみちゃんはあんこが苦手なので食べない。
卜。
塔と水路がある町のはずれ、「水無月橋」で見つかった死体。一年前に失踪したはずの男は、なぜここで殺されたのか? 誰も予想できない結末が待っている! 恩田陸が紡ぐ、静かで驚きに満ちた世界。
恩田陸の世界は、つくられた感が居心地よく、安心して入っていって戻ってこられる。