まみ めも

つむじまがりといわれます

好きな食べ物がみつからない

お昼休みに買い出しにいこうと玄関をあけたら、ふわっと金木犀がにおった。遊歩道の金木犀をのぞきこんでみても、オレンジ色はまだみつからない。花よりも先ににおいをよこすなんておぬし憎いやつ。午後は、窓からときどき鼻先をかすめるにおいを嗅ぎながら、あったかいカフェオレを飲んだ。夕やけがとても赤くて、あんなに鮮やかな赤色があっという間になくなって、心細くて、いよいよ秋だと思う。ガーナリップルを冷蔵庫でひやして、パキッと歯で割るときの、引き返せない感じ。

ト。

「好きな食べ物は何ですか?」 自分のことは、いちばん自分が、わからない。どうでもいいけどけっこう切実。放っておくと一生迷う「問い」に挑んだ120日を濃厚かつ軽快に描いた自分観察冒険エッセイ。

わからないことに語彙をつくしまくって、ああでもないこうでもないと大騒ぎしていて、こんなチャーミングなエッセイってあるかなと思う。ちょうどこれを読んだあとにイナダシュンスケがさいちにいっていて、聖地巡礼したくなった。