まみ めも

つむじまがりといわれます

なんやかんや日記

昨冬まで使っていたブーツは、いまのオフィスの床と相性がいいんだか悪いんだがわからないが、左足を踏むときにきゅ、きゅ、と音がする。鳴き砂のようで風流といえば風流なんだけれど、気になっていたので似たようなブーツを買い替えた。ZARAキッズでラインストーンがまわりに散りばめられているものを選ぶ。きらきらしすぎかなと思ったけれど、視界にきらきらが目に入るのはなんだかよい。サッカー選手の誰かが、好きな色のスパイクを履いているとフィールドでうつむいたときに、前を向けるみたいなことを言っていて、しびれると思ったけれど、視界のきらきらが好ましくて足元ばっかり見てしまい、これではとてもフィールドには出してもらえない。

卜。

生まれ育った京都でのこと、作家になって始めた東京での暮らし。30年を振り返る、武田綾乃の初エッセイ集。「憧れの電気ブラン」「文豪の猫」など日常が愛おしくなる35編を収録。WEB『小説丸』連載に加筆改稿。

落ち着いているなかに、世代の下の人たちの構文が絶妙にいまっぽくてフレッシュ。

人間じゃない

柿が八百屋に並びはじめると、お父さんの最期の日々を思い出す。あのころはいろいろしんどいことが重なったので、それをなんとか生きて過ごしたことがひとつの自信になってしまった。週末に実家からたくさんの柿が届いたので、バジリコとバルサミコとオリーブオイルでサラダにして、もも肉を1.5キロ揚げた。四年前、あのときはむね肉を揚げているときに、いよいよな感じなので早く会いにきたほうがいいという電話をもらい、あわてて新幹線を予約してげんちゃんをだっこして外に出たとき、月が明るかったことを思い出す。四年がすぎて、もう会えないということにまだ納得がいかないでいる。

エフちゃんの本。

かつて異端の研究者が住み、謎の死をとげた<星月荘>を若者たちが訪れた夜、密室内で世にも凄惨な事件が勃発し…。

赤いマント

崩壊の前日

洗礼

蒼白い女

人間じゃない-B〇四号室の患者-

仮題・ぬえの密室

サービス満点の綾辻先生のかわいさがだんだんわかってきた。

ホシは誰だ?

埼玉県民の日というよくわからない日が一年に一度あり、納得はいかないが小中学校が休みになる。仕事は休みにならない。秋口に小学生の留守番はごみ捨ての間の短い時間でも虐待だとか穏やかでないニュースがあり、びびって早々に休みをとっていたので、ついでにげんちゃんの保育園も休ませて、小学生を四人誘ったら、もうひとりお母さんもきてくれることになり、こども10人をつれて、花やしきにいくことにした。駅でも電車内でも花やしきでも知り合いに会い、埼玉県民が大挙して押し寄せたらしい花やしきはものすごい混雑だった。げんちゃんがカーニバルというぐるぐる回る乗り物が気に入ってしまい、へろへろしながら連続で乗った。昼は外でラーメンをすすり(そこらへんの草でもというわけにはいかない)、ついでにビールを一杯飲んだ。お昼のあとと帰り際、別のお母さんがひとりまたひとりと仕事あがりに合流して、帰りは14人。仕事上がりと遊び帰りの埼玉県民で混雑する電車でげんちゃんだけが爆睡していた。

ブ。

Nホテル六〇六号室 鮎川哲也

王妃の首飾り 三好徹

分け前 飛鳥高

これ、おわかりかしら? 佐野洋

旅へのいざない 高原弘吉

三人の手切金 結城昌治

怪人ギラギロ現わる! 樹下太郎

執念の島 島田一男

夢の完全犯罪 都筑道夫

愚かなる殺人者 笹沢左保

動機と機会 土屋隆夫

追悼パーティ 菊村到

新・黄色い部屋 陳舜臣

ケンタウルスの殺人 筒井康隆

一枚の紙片 戸板康二

モーニング・サービスは死 生島治郎

ウマい発見 海渡英祐

解決篇

推理の才能がまったくないので、怪しい人がいてもなんで怪しいのかはまったくわからない。なにもかも見たり読んだり聞いたりしたそばから忘れてしまう。名探偵にはなれないと思う。

かのこちゃんとマドレーヌ夫人

先週はじめて三者面談というものがあった。お昼で在宅の仕事をあがり、ビールを一本だけ飲んで、ブックオフで時間をつぶし、東海林さだおを一冊選んでから中学校にいく。校庭で部活をやっている集団を首をのばしてみていたら、せいちゃんがこっちを見つけて手を振ってくれた。はつらつとした先生は、これだけはお母さんに絶対言おうと思っていて、と前置きして、学校でお弁当を食べている様子を先生が撮影していたら、せいちゃんが窓に向かって「おかあさーん、ありがとー!!」と叫んだ話をしてくれた。テストの点数はエビデンスの発音のとおりにさがっているけれども、先生からはかわいがられているらしい。そんなわけではじめての三者面談はほのぼのしたものだった。

おふとんきらい!と蹴飛ばし続けていたげんちゃんが、ふとんにくるまって朝を迎えて、季節のうつろいを感じる。

卜。

小学校1年生の元気な女の子・かのこちゃんと、外国語を話す優雅な猫・マドレーヌ夫人。その毎日は思いがけない出来事の連続で、不思議や驚きに充ち満ちている-。万城目学が紡ぎ出す、新たな物語の世界。書き下ろし長編小説。

ちくまプリマー新書で。せいちゃんとふたりで読む。おはなし具合が絶妙で、ちいさな奇跡を信じたくなるし信じている。

昨日のパスタ

雨が降ったら一気に冷えてきて、窓際の定位置で仕事をしていると窓からそくそくと秋の気配が伝わってくる。生まれ育った日本海側の町は雨が多くふとんをなかなか干せなかったので、晴れた日に家にいると意地のようにふとんを干してしまう。秋の日差しは傾きやすく、ベランダで陽のあたる場所が限られており、むかつくことがあったときはその人のふとんは陽当りのあんまりよくないところ(なんなら家の中の階段をあがったところの手すり)に干してやったりする。器が小さい。小さい器になみなみの恨みをたたえている。

卜。

そら豆ご飯を炊いたり、梅干しや新生姜を漬けたり、栗をコトコト煮込んだり。ベルリンのアパートを引き払い、日本で暮らした1年は料理三昧の日々でした…。当たり前すぎて気がつかなかった大切なことを綴ったエッセイ。

雑でせっかちな自分からすると信じられないくらい日々を丁寧に暮らしていて、こんな人も世の中にはいるのだなあと思う。

みずうみ

いつもこの季節にはなにを着て過ごしているのかわからなくなる。ひさしぶりに薄手の黒いカーディガンをひっぱりだして広げてみたら、虫くいなのかあちこちに穴があいていた。すかしてみたら星空みたい。星空、迷いなく捨てる。

誰にも言っちゃ、だめだよ。ふたりだけの秘密……高校教師の桃井銀平は、教え子の久子と密かに愛し合うようになる。だが、二人の幸福は長く続かなかった――。湖畔で暮らしていた初恋の従姉、蛍狩りに訪れた少女など、銀平が思いを寄せた女性たちの面影や情景が、中世の連歌のように連想されていく。作家の中村真一郎が「戦後の日本小説の最も注目すべき見事な達成」と評した衝撃的問題作。

川端康成の話をしようじゃないか、を読んでいたらひさしぶりにむらむらしてきて、本棚から手に取った。ネジがとんだ変態っぷりが研ぎ澄まされたきんきんの文章でしたためられていて、しびれる。

春のこわいもの

打ち上げの帰りにふらふら歩いていたら最寄りのコンビニの前でたむろする集団に声をかけられて、よくみたら知り合いだった。油断できない。招きいれられ、調子にのって日付が変わるころからビールを二本飲んでしまい、次の日は使いものにならんかった。コンビニの店員の名札には、ひらがなでぴゆまると書いてあった。

卜。

ギャラ飲み志願の女、親友をひそかに裏切りつづけた作家、大切な手紙を失くした高校生、寝たきりの老女…。感染症が爆発的流行を起こす直前の、東京の男女6人の体験を描く。オーディオブック『Audible』配信を書籍化。

個の話の中になにかしら自分がいてびっくりする。