まみ めも

つむじまがりといわれます

2020-01-01から1年間の記事一覧

黄色い雨

年内にすべりこみで美容室にいく。ばさばさになってタイトルをつけるなら「生活に疲れた中年女性」でしかない頭を軽くしてもらい、さっぱりした。生活に疲れながらなんとかやっている中年女性になったと思う。そのあとドーナツショップでダブルチョコレート…

ヘンリーくんとアバラー

仕事納めの朝、遊歩道の梅の白いつぼみがひらいている。通勤のいつもの電車はひとが疎ら。乗り換えの駅で毎日脱兎のいきおいで駆け出してくるひとたちも今日はいない。彼らは師走の師ではなかったらしい。なんとなくのんびりした気持ちで仕事にいく。 昨日は…

村上朝日堂

うらうらとあたたかい日が続いて遊歩道の木瓜がいつのまにか咲いていた。梅のつぼみがふくらんでいる。クリスマスは鎌倉からケーキの贈り物があり、ビーフシチューとブッシュドノエルでお祝いをした。こどもたちにはクリスマスの朝にそれぞれプレゼントが用…

文学はおいしい

駅前の八百屋に、鮮やかな黄色がパック詰めされて38円だったので買って帰る。食用菊をはじめてたべたのは九年前で、お隣のおじいさんが庭先で黄と紫の菊を咲かせていて声をかけたら、たべてみっかとわけてくれた。そのおじいさんは骨を折って入院したとかで…

たいのおかしら

銀杏のはっぱがあしもとでかさこそと乾いた音をたてると、関東の冬だなあと思う。はやく薄暗くなる夕方に、黄色く散り敷いた落ち葉があかるい。 こどもたちからせがまれて焼き芋をつくったら、みんなハマってしまい、第一次焼き芋ブームが到来した。180℃のオ…

まあまあの日々

朝はほんの少しだけ早く家を出て、乗り換えの駅のホームで列に並び電車を一本やり過ごして次の電車に座ることにしている。そこで本をぺらぺらと読むときの指先がかじかむようになってきた。いまデスクのある部屋は西の窓に富士山がみえ、南の窓にスカイツリ…

鳥たち

日曜は鎌倉から義父母がきて、アスターでお昼をのんびりとご馳走になり、デパートでこどもたちになんやかやと洋服を見繕ってもらった。デパートはクリスマスの売り場が華やかだった。暖房のきいた店内がきらきらするので暑くてぼうっとなって、義父は椅子に…

本と体

駅前の八百屋がすごくいい。なんたってポップがいい。手書きで「押さないで 桃がそっと つぶやいた」なんて書いてあって、桃が涙を流している絵が添えてある。レジの前にはぴらぴらと何枚にもわたって「あと少しです グッとこらえて 間を開けてください」と…

人生ベストテン

土曜日が今年一番早い日の入りで、とにかく冷え込む雨の一日だった。編みものの本を眺めていたらむらむらきていてもたってもおられなくなり、編み棒と毛糸を買いこんで、編み始めてしまった。生成りのアルパカの糸で模様編みに初挑戦している。ビールを飲み…

急に具合が悪くなる

先週の金曜、やどの誕生日だった。日曜日、奔走し、肉や酒を買い込み、チョコレートを溶かしクリームを泡立てバナナをつぶしケーキをこさえる。胃がきりきりするのを漢方薬でごまかしながら、夜、ぶどうジュースとスパークリングワインで乾杯をして、肉と野…

中年の本棚

おとうさんの命日だった。春夏秋冬の一年が過ぎることに怯えていたわりには、慌ただしい日常で昼過ぎまで命日のことを思いださずにいた。思い出にびびって、柿柚子も作らずにいる。クマノミズキのはちみつも、ずっと蓋をしたままになっている。前に、親戚の…

さあ、熱いうちに食べましょう

水曜の朝にせいちゃんが喉の痛みをうったえて、その日は営業の電話がかかってくる以外にたいした用事がなかったのでまるっと休むことにした。ちかくの小児科にいき、せいちゃんの自転車にまたがり買い物のついでに図書館と薬局に寄り、帰ってきて布団を干し…

がんばれヘンリーくん

会社に持参する水筒にはずっとアイスのカフェオレを入れていたのだけれど、丸八製茶の茶葉「ほうじたて」と「献上加賀棒茶」をもらって、朝、ほうじ茶を沸かしてたっぷりに詰めてみた。ふうふうするときに鼻先に漂うにおいが懐かしい。 がんばれヘンリーくん…

おんぶにだっこ

満を持してぶんぶんチョッパーを買った。うれしくなって、肉も野菜もぶんぶんしてことごとくみじん切りにしてカレーを鍋にいっぱい煮た。コールスローもキャベツと人参をぶんぶんしてたっぷり作る。コールスローはぶんぶんするとケンタッキーっぽくなる。お…

村上春樹全作品 1990~2000 第7巻

夕暮れがいよいよ早い。秋の雲。鳥がギーギー鳴いている。闇市風情の八百屋で津軽産のりんごが箱で864円だったのを自転車でよたよた持ち帰った。何年ぶりかでヨーグルトポムポムを焼く。簡単で素朴なおやつで、これを気に入ってまた作ってねと言ってくれた友…

1968[3]漫画

休みを継ぎはぎして帰省しお父さんの一周忌とおばちゃんの四十九日を済ませてきた。帰省の当日は五時半起きで弁当をふたつこさえ、自分はいつもの人参サラダのサンドイッチを持って仕事に出て、五時過ぎに帰宅して荷物をまとめて保育園にお迎えにいきそのま…

アガワ家の危ない食卓

出社するなりセイちゃんが学校をサボっていることがわかり、どたばたと連絡をする。朝の忙しいときに本に夢中になり支度が進まず苛々のつのったやど氏に出ていけといわれた売り言葉に買い言葉で本当に家を出ていったとのこと。やど氏もカッカきて学校に連絡…

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

週末、ふみちゃんと庭掃除に精を出す。げんちゃんがおんぶにだっこで、おろすと泣いていやいやするので、おぶったまま、庭の落ち葉を掃き集め、草をひっこ抜き、どんどんゴミ袋に詰めていく。ふたりでメガを名乗るℓの袋をぱんぱんにした。庭が少しだけさっぱ…

鴻上尚史のほがらか人生相談

日の入りが五時より早くなって、仕事あがり、最寄り駅についたときには空が濃い青で、西に向かって歩く帰り道でだんだんと木立ちが影絵になっていく。オレンジとブルーのグラデーションが鮮やかだ。透き通っているのに濃い色合いで、この季節の夕焼けが一番…

キャベツ炒めに捧ぐ

いなかから届いた新米がなくなるのを惜しんで、休みのお昼に炊きたてのごはんをおむすびにする。てのひらが真っ赤になるのを水で濡らしてごまかしながら、塩を振って、ひとりにふたつずつ。並んだ姿がいとおしくて写真を撮る。たべるときに海苔を巻いて頬張…

村上春樹とイラストレーター

日曜はやど氏が絵に描いたような二日酔いをやり一日中へばっていた。午後はソファにのびて起き上がれない。容赦なくその上をげんちゃんがはいはいでよじのぼっていく。戻ってくるときに誰かの書いた反故の白い紙がげんちゃんにひっついてひらひらとやど氏の…

向田邦子の本棚

風邪がうつったのか、気圧のせいなのか、ビールがうまくなく、やたら怠く、昨日の夜はソファで寝てしまって、なかなか起きられない。ソファから体を引き剥がすようにしてふらふら起きてみたらひと口分のビールが350缶に残っていた。ぬるくなったビールを流し…

ロック母

細胞培養をはじめたら、細胞に翻弄される日々。思ったより増えてたり、かと思ったらピタッと増えなくなり、週末のあいだほっといたのに月曜日に顕微鏡ごしに覗いてもなんにも変わってなかったりする。なんて手のかかるやつだ。 細胞にかまけていたらせいちゃ…

その場小説

金木犀が爛漫で、街の中ににおいの濃淡が見えるようだ。朝、目が覚めて部屋を出ると、夜のあいだうっすらあけてあった階段の窓からひんやりした空気と甘いにおいが入りこんでいる。ちょっと甘すぎやしませんか。 いなかから新米と梨が届く。ごはんがお釜の中…

八ヶ岳キッチン

すこし早起きしてソファでぼんやりしていたフクちゃんが、出し抜けに「おかあちゃん、さっきからピンクのお花がふわふわういて見えるんだよ」なんて言いだすので、ラリってしまったのかと心配したけれど、窓の外で百日紅の花が、蜘蛛の糸にぶらさがって揺れ…

マスタードをお取りねがえますか。

どこにもいかなかった夏を惜しむように玄関先で花火をやったりしたけれど、窓を閉めて寝ていても肌寒くてついに綿の布団を出した。薄着で布団のふかふかにくるまることの多幸感。外では虫がるりるりビブラートを利かしている。 日曜に浦和に出た用事があった…

終わりと始まり

木曜の朝におばちゃんの訃報。おとうさんと同じ病気でしばらく前から闘病していて、さいごは家に帰って家族と一緒に過ごしたらしい。家のそばでオレンジ色のコスモスが風に揺れていて、おばちゃんのことを思い出す。すらりと背が高くて、ジーンズがよく似合…

希望という名のアナログ日記

遊歩道のいちじくを、ハムとチーズとサンドイッチにしてお昼に食べる。花が内側に咲いているのを隠頭花序というらしい。内側の花のところをじっと眺めていると裏返しになってしまいそうな変な気分。裏返しになる前に食べてしまう。今年は春の梅がなり年だっ…

背高泡立草

ニューシャトルの沿線にある職業訓練校に通っているらしい男の人と朝の通勤で一緒になることがあって、乗り換えのコンコースでその人がうしろを歩いていると、ぼそぼそとしたひとり言が追いかけてくる。脈絡はわからないながらいつも無理だとつぶやいていて…

すき焼きを浅草で

週末になってもげんちゃんの熱がさがらず土曜の明け方に坐薬をいれ、朝を待って病院に連れていく。気管支炎になっているらしく、吸引と吸入をやり、水薬と抗生物質を追加で出してもらう。いやいやで押さえつけられて吸入をしながらおちゃあちゃん、おちゃあ…