まみ めも

つむじまがりといわれます

われはもとめうったえたり

悪魔くん千年王国 (ちくま文庫)
悪魔くん (ちくま文庫)
エロイムエッサイム、という呪文をどこで聞いたのだか思い出せない。小学生の頃に、夕方、ゲゲゲの鬼太郎をテレビのアニメーションでみた記憶はあるものの、水木しげる作品をまっとうに読むのははじめて。読者をおいてけぼりにしてしまう水木氏の熱狂具合と、突拍子ない脱力感のバランスとがものすごくて、どこまで本気なのだろうといぶかってしまうほど。「悪魔くん」「悪魔」「サタン」と、辞書的にはアイデンティティが同一の呼称でありながらそれぞれにまったくキャラクターの異なる登場人物があらわれたり、悪魔をあやつるソロモンの笛がしれっと縦笛からオカリナに変わっていたり、つっこみどころ満載というか、好き勝手し放題の水木氏におもしろおかしく翻弄されてしまった。妖怪たちは、なるほどいきいきと描写されており、百目という妖怪が、なんとも間の抜けた妖怪なのだが、ときに、すがたに似合わず小生意気なことを言ったりするのが、愛らしい。